０７年の日本シリーズは見事中日の４勝１敗で
５３年ぶりの日本一を勝ち取りました。
しかし第５戦、投手交代で思わぬ波紋が広がっています。
勝利を取るか、個人の記録を取るか
これはそれぞれ意見の分かれるところだとは思いますが。
経緯を振り返ってみたいと思う。
中日の３勝１敗で迎えた第５戦。
中日の先発には、山井だった。
山井は立ち上がりから得意のスライダーが決まり
日本ハム打線に出塁すら許さない状況。
打線は２回裏、連打で作ったチャンスに
プロ２年目の平田が右犠飛を放って１－０と先制した。
この虎の子の１点を必死で守った。
スライダー、シュート、直球を投げ分け
気が付いてみれば８回終了で
無被安打、無与四死球、無失策、無失点。
いわゆる完全試合となっていた。
もちろん９回も、ところが―
「ピッチャー、岩瀬」
ドーム内に岩瀬がコールされた瞬間、
なんとも言えないざわめきが。
落合監督は完全試合の山井に代えて
岩瀬をマウンドに送りこんだのだ。
岩瀬は３者凡退で退け、中日が１－０で日ハムを下し
見事５３年ぶりの日本一となったのだ。
後に落合監督はこう言う。
「山井はマメがつぶれていた。
ユニフォームに血が付いていたんだ。
本人がダメと言えば、行けとは言えれない。
行けと言って、またあいつ(山井)の肩が壊れたら大変。」
しかし楽天の野村監督はこう言っていた。
「私だったら９回を(山井に)行かせて
もし安打１本打たれたら代える。
１０人の監督がいたら１０人そうするでしょう。
スパッと代えるのは落合監督しかいない。」
中日は５３年日本一から遠ざかっていた。
去年も、０４年も舐めた苦汁。
しかし今年は３勝１敗でナゴヤドームで王手をかけていた。
スコアは１－０と最少得点差。
もしそのまま９回も行かせて
安打１本打たれて交代したとする。
そこで試合に勝てればいいが、負けたら何の意味もなくなる。
その後札幌２連戦で流れが変りかねない試合だ。
落合監督の采配は当然だ。
最後の９回は守護神・岩瀬。
シーズンと全く変わらないスタイルだ。
８回を完全試合した山井投手
そう、落合監督は個人の記録より
勝利、日本一を選択したのである。
当たり前だ、０４年のキャンプのころから
目標は常に日本一だと言い続けてきたからだ。
そして、勝利の方程式はピタッとはまった中日は
５３年間の長い呪縛から解放されたのである。
落合監督は試合中、
山井から降板したいということを聞いて継投を選択した。
しかし現実は賛否両論の“完全試合継投”。
でもまず彼らに言って欲しい。日本一おめでとう、と。
それでは、また♪