EAR PHONEから会社会専用呼び鈴が鳴りだした。

いつも通り、誰も取らずに知らんぷり。
従って、いつの間にか対応は私の仕事へと定着して行った。

EAR PHONEの装着されている部分のボタンを押し電話に出る。


 「ありがとうございます。ラッシュです。」
「あぁ、もしもし、ふるや企画のふるやと申しますが、部長の北野様いらっしゃいますか?」
透明感のある聞きやすいダンディーな声。 

 「はい。ふるや企画のふるや様ですね。少々お待ちください。」
周りを見渡したが、北野部長はいない。
いつもなら、私の机の斜め前にボォーっとPCを見て座っているのだが…

 「もしもし、大変申し訳有りません、北野はただいま席を外しております。
  差し支えなければ私がご伝言を承ります。」

するとダンディーな声の持ち主が答えた。
「急ぎなんだけどなぁ。。。。そしたら、河合さんいる?」
 「・・・はい、私ですが。。。」
「あっ河合さん、今から言う場所まで北野部長の机にあるグレーの書類もってきてくれないかなぁ?」

机の上にある???

北野部長の机を眺めて見ると確かにグレーの封筒が置いてあった。
しかし、
 「あのぉ~、中の書類はどんな物ですか?間違えると失礼ですので。
  それと、北野は存じているのでしょうか?」
中を確かめないと持って行った所で違う物だったら、
この人急いでいるって言ったから怒るだろうし。

「あぁ、知っているよ。不在の時は、河合さんが対応するって言ってたから。」

えっ、聞いていない。

「中にはふるや企画の書類が入っているんだけど、一度確認してみて。」

 「はい・・・・移動しますので少々お待ちください。」

足早に北野部長の机へと向かう。
途中、角に乱雑に置いてあったおたく専用のPC雑誌につまづいた。

 「痛っ」
「どうしたの?」
それほど痛くなかったのに、おもわず声が出てしまっていた。
 「いや、何でもないです。えーっと、中はですね・・・・」

封筒の中をのぞいてみると、確かに『ふるや企画』と書かれていた。
 「有りました。御社の企画書です。」
「あぁ~よかった。今からそれ、使うんだよ。で、悪いんだけど、
 池袋のアースブランチって言う喫茶店まで持って来てもらえないかな?」

部長が言わなかっただけで私に頼んでいた訳だし、
暇だったから外出したい気もしていたし、
あまり悩まず、
 「分かりました。住所を教えて下さい。」

事細かな場所の説明を聞きながら、「m&p」に記憶させ会社を後にした。




これが、私の未来を変えた依頼であった。