N)ここは、富士見神社。地元の人間しか出入りしない、小さな神社で、普段は訪れる人も少ない。



和哉「神社に何の用があるんだ?」


由香里「ここはね! 凄い都市伝説あるんだよ! 500円賽銭祈る→50円賽銭祈る→500円賽銭→5回手を叩いて祈る·····で、奇跡が起きるって!」


和哉「マジかよ!? ·····ん? でも奇跡って·····何だ?」


由香里「細かいことは気にしない! チャレンジあるのみ! いい? 挑戦した者にしか、勝利は訪れないのよ!!」


和哉「なんか、カッコいいこと言ってるね~ユカリン! よし、やってみるか! 500円、50円、500円·····で、5回叩くのか? もう1回、あの日の穂乃花ちゃんに会わせてください!」



N)和哉が5回手を叩き、目を閉じて祈る。目を開けると、隣にいたはずの由香里が消えていた。



和哉「あれ? 由香里? どこだ?」



N)神社の敷地内を、由香里を探し回る和哉。神社のお守り販売所で、巫女さんに声をかけた。



和哉「すみません! 人を探してるんですけど·····」


N)巫女さんと話していた和哉は、売店の壁のカレンダーを見て、自分が過去に戻ったことに気がつく。



和哉「願いはかなった·····ってことか!?

じゃあ·····祈ったのは俺だけだから、由香里は来てないかも? よし、穂乃花ちゃんに会いに行くぞ!」



N)和哉は、穂乃花と出会った川沿いの土手へ向かって走った。



和哉「いた! 穂乃花ちゃん!」


穂乃花「だれ? どうしてわたしのなまえ、しってるの?」


和哉「あれ? 初めて会った感じ? なんか戻るタイミングによって違うのかな? まあいいけど」


穂乃花「わたしね、けいさつのひとに、ここでまってるように--------


和哉「ああ、はいはい! 知ってる知ってる! うんうん! そこを何とか·····ここにいると危ない! って言ってもわからないだろうしなあ·····どうしようかな?」


穂乃花「おにいさん、いっしょにあそぶ?」


和哉「いや! 一緒に遊んでると·····多分、俺も殺されるんだよなあ·····死体が2つに増えるだけなんだよなあ·····ねえ、穂乃花ちゃん。何好き? 大好きなの、なんかある?」


穂乃花「すきなもの? ねこっくま! ねこっくまだいすき!」


和哉「ねこっくま? ああ·····なんか、あったなあ、そういえば·····顔が猫で身体が熊のアレね? 小学校の時に流行ってたなあ·····うん。じゃあさ、穂乃花ちゃんの誕生日プレゼントに、ねこっくまのグッズ買ってあげるから、一緒に行こうよ」


穂乃花「うん! いく!」


和哉「やれやれ、良かった·····これで未来の穂乃花ちゃんも、無事でいてくれるといいけど」



女性アナウンサー

「·····続いてのニュースです。警察は今日午後、年齢不詳·国籍不明の外国人男性を、殺人未遂の容疑で逮捕しました。男は薬物検査で陽性反応が出ており【自分はアンデス山脈の化身だ】【ホノカハドコヘイッタ】などど意味不明な言動を繰り返しているそうです」



由香里「ねえ、和哉! 大丈夫?」


和哉「ああ·····戻って来たんだな、俺」


由香里「戻って·····? え? 何? どうなったの? 穂乃花ちゃんに会えた?」


和哉「ああ、会えたよ。後は、今夜8時の同窓会に·····穂乃花ちゃんが来てれば、大成功だな」



N)夜8時。和哉と由香里、同窓会の会場に到着。



和哉「ああ、本当だ。田代っぽい奴がコーラじゃなく、ビール飲んでる」


由香里「田代君なんて、どうでもいいから! ·····ほら! アレ! 穂乃花ちゃんじゃない!?」


和哉「うわ! あの事件無かったら、あんな感じになってたのか?」


由香里「ウエストほっそ! 何アレ? モデル? モデル目指してるの?」


穂乃花「あ、上條君と佐倉ちゃん! 久しぶりだね!」


和哉「お、おう! なんか、どうリアクションしていいかわかんないけど·····生きてて良かっ·····いや!元気そうで良かった!」


由香里「穂乃花ちゃんがここにいて、生きてるだけでも何か涙出てくる!」


和哉「わかるよ、その気持ち」


穂乃花「? あのね、上條君に渡したいものがあるの」


和哉「ん? なんだろう?」


穂乃花「はい、これ」


由香里「謎の紙袋!」


和哉「これは·····麦わら帽子?」


由香里「あ! これ、小学生の頃、穂乃花ちゃん使ってたやつだよね?」


和哉「いいのか、これ? 思い出のアレっていうか、大事なやつなんじゃないの? 何で、俺に?」


穂乃花「ねこっくまのお礼だよ」


和哉「ねこっ·····え!? いや、な·····なんのことかな?」


穂乃花「フフフ。やっぱり、違う? 上條君じゃないのかな·····今の上條君に、凄く似てるんだけど。

時々、夢を見るの。私がね、変な人に殺されそうになる夢。でも、必ず助けてくれる人がいて、それが上條君に似てるの」


由香里「ダメだ! 言っちゃいけないことがたくさんあるけど·····全部知ってると泣きそうになる!」


和哉「言うなよ、由香里! 言ったらたぶん、いろいろダメなやつだ! いや、知らんけど!」


穂乃花「いろいろありがとね、上條君。いろいろ·····フフフ」


由香里「うわ! なんか聞きようによっては、凄い意味深に聞こえる! 和哉、これバレてんじゃないの!?」


和哉「いや、そんなはずは·····だが確かに、すべてを知っているかのようなあの微笑み! 何だ? 俺たちとは生きているステージが違うのか!?」


穂乃花「フフフ。じゃあ、3人で遊ぼう」




(終わり)