可笑しい。
可笑しすぎる。
俺に逆らう奴が居た。
しかも、女。
しかも、ただの女じゃあなかった。
「痛ぇよクソが。
当たって来てガンつけるとか何様?」
鼻で馬鹿にしてるのを隠しもせずに、嘲笑うように振る舞う、可愛さのカケラもない仕種。
仁王立ちで、いかにも「私は悪くないから」的な視線を向ける、狡猾な態度。
そして、聞いた人を素晴らしいくらいに唖然とさせるしかない言葉の暴力。
つまり、毒舌。
俺の後方に居た友達も唖然としてソイツを見ている。
そんな中、俺は呆気に取られながらも必死に言葉を見つけて、言葉を発した。
「………は?」
ちょ、もっと言う事あるだろ、俺!
何が「は?」の一言なんだよ!
俺が何気に脳内で葛藤していると、ソイツはフフンと勝ち誇ったように笑って、言った。
「は?何ですか、せんぱァい。
聞こえませんよ、言・い・訳・が」
プ チ - ン 。
俺の脳天辺りからそんな音が聞こえた。
俺は深呼吸を素早く行い、目元をひくつかせて言い返すスタンツを取った。
「ははっ、そりゃどーもさーせん!
あんまりにもお前が小さくてさぁ、見えなかったんだよォ!」
そんな返信をしたら、いきなり生意気な目を俯かせて奮え始めたソイツ。
………って、ちょ、え?
俺は、ほんの少し動揺してしまった。
ままま、まさか、…………泣いた?
「…え、………お、オイ?」
俺が微妙にうろたえてそう言うと、ソイツは震えたまま、小さく何か言葉を発した。
「…………だとォ?」
「は?」
「だれが小せぇだとォ!?」
「!?」
眉間に皺を寄せて、いきなり威嚇して来るソイツ。
この、男のようなクソ生意気な言葉遣いに、クソ豆粒みたいな身長。
彼女は、校内1の毒舌家にして、校内1オトすのが難しいとされる美女である。
我ながら、ベタな設定下のような物語だが、事実上の事なので、仕方ない。
1年にも関わらず、2年の俺に対しても敬語なんて使用しないその根性。
自分を何だと思ってやがるんだよ。
しかも、俺に生意気な口を利く女は、初めてだった。
だから唖然とした後に、つい言い返したが、言い過ぎたとは思ってないぜ。微塵もな。
そんな風に思考をめぐらせていたら、どうやら落ち着いたらしいソイツが、またもや勝ち誇った笑みを浮かべて俺に言った。
「つーか、校内1の不良と言われる先輩が、私に何か用?」
「は、別に?つーかお前がいきなりぶつかって来たんじゃねーか。謝れチビ」
「お前がエラソーに廊下の真ん中に突っ立ってたからだろーが。テメェが謝れナリヤン」
「あ゙ぁ!?何だとゴルァ!文句あんなら女でもブッコロスぞ!?」
「うわー、怖ーい。これだから不良って嫌なんだよねー。吠えるだけで人間を平伏せられると思ってるでしょ。馬鹿じゃねぇの?つーか馬鹿でしょ?馬鹿馬鹿馬鹿ー」