これ以上被害者が増えてほしくないので私の体験をお伝えします。

マルチ商法は疑ってても予備知識がないと簡単に騙されるので最後まで読んでほしいです。

私には大学生で年下の彼氏がいました。
2月上旬、会っていた時に「言いたいことがある」と言い、はじめは怪しんだんだけどね、と口に出しながらある話をされました。

最初は、信頼している知人(以下A)から「一緒に飲まないか」と誘われたそうです。
そこで何らかの話があり、「話だけ聞いてほしい」と、投資家集団内の儲けている人(以下B)と後日会うことになったそうです。「話を聞くだけならいいか」、と聞いていく中で、「AIを使ってバイナリーオプションで成功できる」「ねずみ講やマルチ商法といったものではない」、「すぐに儲けられるので取り返せる」などの説明を受けてバイナリーオプション(以下BO)のツールが入ったUSBをかなりの高額(ネットの情報だと53.7万円)で購入してしまったとのこと。その際預金が足りず、学生ローンから借り入れすることで費用を捻出したようです。

参考情報
・バイナリーオプション(BO)とは為替の上下を予想する投資手段でギャンブル性は高いものの、実際に”短期的に”稼いでいる人はいる
・購入者のほとんどは社会に出て間もなく、マルチ商法や悪徳商法についてよく知らない学生
・ツール入りのUSBを作成しているのは、アイテックジャパン(恐らく、株式会社i tec japan)という非上場、ネット上にホームページのない会社である

→現在はファースト、kingsに分社化し、それぞれに活動している(2019/4/1)
・集団内のメンバーは、他人に紹介し、その人がUSBを購入すると6万円の見返りがもらえる(特定商取引法におけるマルチ商法にあたる)
・クーリングオフの期間は6日間とされているが実際は連鎖取引にあたり20日間のクーリングオフ期間が法律で義務付けられている
・主に渋谷の飲食店で勉強会やミーティングを毎日行い、購入者に対してバイナリーオプションで稼ぐ方法を教えている
・購入者が短期的でもBOで稼げると次の購入者の紹介につながるため、教育はしっかりしているもよう
・啓発セミナー参加者は300人前後

また別の被害者にネットを介して連絡を取り聞いた情報は、以下の通りです。
・USB内のツールは無料、もしくは低価格で販売されているインディケーターを組み合わせたもので大金を払う価値はない
・的中率は80%を超えるとうたっているが、有用なインディケーターを組み合わせているので半分以上は的中するものの、さほど高くない
・仮に80%を超えるならばツールの言うとおりに投資すればいいので、勉強をする必要がない
・組織内に実際に稼いでいる人はいる。ただし、他人を紹介して得た報酬で稼いでいる人か、報酬金をかけ金として投資に回し短期的に儲けている人ばかりで、USBのツールのみで稼いでいる人はほぼ皆無と思われる
・セミナーの後半では発破をかけるような洗脳的な要素があるらしく、洗脳されやすい
・契約書面において情報を公開すると無条件に違約金が発生すると明文化してあるそうで、ネット上で声を大にして被害を訴えることができない

契約書等がないと断定はできないと弁護士に言われましたが、素人判断でも、特定商取引法、投資助言業登録、金融商品取引法、雰囲気商法などといった法律への違反の可能性が高いです。
上でも述べている通り、組織内で稼ぎ続けている人は他人を騙して紹介料を得ている、USB購入費を得ている組織幹部のみだと思われます。


彼はUSBの購入後、渋谷の飲食店で開かれている勉強会に参加する過程で投資家集団の実際に稼いでいる人達と会う中で徐々に信用してしまい、私の知る最後のほうはほぼ毎日ミーティングや勉強会といったものに参加していたようです。
私は話を聞いた当時から悪徳なマルチ商法だ、と思い法律や被害者がネットに多くいること、東京都の行政が注意喚起していることなどを挙げて辞めるように伝えていました。相談された当初は私の話に耳を傾けて心動かされそうな様子でしたが、セミナーに毎日通い、その組織を信頼するにつれて、「ほんとにいい人たちばかり」「立派な投資家集団で尊敬してる」といった発言が増え私は焦りを感じていました。
その他にも、「実際に稼いでいる人ばかり」「組織の人にマルチ商法ではないと言われた」「自分には目標があって組織の人が応援してくれている」など荒唐無稽な話ばかりで完全に洗脳されているようでした。

組織の人に私が反対していることがばれたら別れさせられると感じていた私は彼に、「私が反対していることはその人たちに相談しないように」と伝えていました。しかし、組織幹部を信頼しきっている彼氏はどうやら私のことを相談してしまったようでした。
数週前に、LINEの文面にてマルチ絡みで喧嘩をしてしまい、「俺のやりたいことを完全に理解して応援してくれる人じゃないと付き合えない」と言われ連絡が途絶えました。こんなものの言い方をする人ではなかったので、組織の人の言葉遣いに納得させられてそのまま私に伝えたのではないかと思っています。彼氏が今何をしているのかもう私にはわかりませんが、純粋で人を信じやすかった彼を救えなかったという後悔の気持ちでいっぱいです。初めて彼から打ち明けられたときに私に知識がありちゃんと対応できていれば違った結果があったのではないか、とどうしても思ってしまいます。
マルチに騙されるまでは喧嘩をしたこともなく、年上の私に信頼を寄せていて、私の考え方など尊敬してくれていたのに別れるころには私の話を一切聞いてくれなくなりました。一部のカルト宗教と同じで生活や考え方の全てがマルチに染まってしまうようです。

 

知り合いから「話だけ聞いてほしい」「儲けられる話がある」などと言われたら、その人がどんな立場の人であろうと断ってください。
もし周りの人が同様の被害にあっている場合、クーリングオフ期間内ならばなんとかして消費者センターや弁護士に相談の上クーリングオフさせるようにしてください。本人の被害意識がないと消費者センター、弁護士は相手にしてくれません。一度洗脳されてしまうと元通りになるのはとても難しいと思います。私は間違った手段を講じてしまいましたが、洗脳された後では話をよく聞いて応援するふりをして「他人に迷惑をかけない」「3か月や6か月など明確な期間を決めて、その期間で稼げない場合はマルチを辞め、団体とのかかわりを断つ」ことなどを約束させることが有用なそうです。

組織の人からしても特定できてしまうため、この話を公開するかどうか悩みましたがこれ以上被害者を増やしたくないことと、彼を洗脳された憤りから公開することに決めました。
セミナー参加人数が300人程度であることから、かなりの規模を持った組織で被害者も相当数いると思います。自分には関係のない話と思われるかもしれませんが、マルチ商法は勧誘を通して被害者がねずみ算式に増えます。現在も都内の大学を中心に勧誘活動が行われていると思われるので、かなり身近なところに迫っている可能性が高いです。

マルチ商法は私の例みたいに金銭的な被害にとどまらず、洗脳作用によって被害者と友人、親など人間関係を修復不能なまでに壊してしまう悪質なものです。またこの組織においては勧誘活動、投資に専念するために大学や仕事を辞める人が多くいるという点で、将来にまで大きく影響を与えます。

 

家族や友人、恋人など大切な人が被害にあわないよう、多くの人がこの文章を読んでくれることを望みます。