あの日、なぜか朝早くに目が覚めた。
目覚まし時計を見ると、5時40分。
ふとカーテンのほうを見ると、何か外の色がおかしい。
起き上がって窓の方へ行き、カーテンを開ける。
・・・空が紫色だった。
え?と思い、ベランダに出て空を見上げる。
そこには、今まで見たことも無い巨大な満月があった。
唖然としながらも、寒さで部屋に戻る。
布団に戻り、もう少し寝ようかなぁなんて考えていると、遠くの方から何か音が聞こえる。
ゴゴゴゴ
だんだん音が大きくなってきて、起き上がろうとしたその時でした。
あ、地震だ。
揺れ始めてまもなく、突き上げる衝撃。
上から色んなものが落ちてくる。
立ち上がるどころか、身動きすら取れない。
どれくらい揺れていたかはよく覚えていない。
とにかくそれは恐ろしく永く感じた。
家の棚にあったものは全て足元に落ちていた。
家の中で靴を履いた。
壁はひび割れていた。
電気・ガス・水道は全て止まっていた。
テレビもラジオもつかないので何も情報がない。
僕はとりあえず学校へ行く用意をしていた。
しばらくしてガスが復旧した。
台所のガスコンロで暖をとる。
そのうちに電気も復旧した。
テレビをつけて、固まった。
なんだこれ・・・
そこには想像すらできなかった、変わり果てた神戸の街が映っていた。
阪神高速は傾いて倒れ、火の海となった街。
当時通っていた高校は二つに割れていた。
父親の会社は全焼していた。
トイレの水を確保するため近くの小学校のプールに行き、緑色になっているプールの水をバケツに汲んで帰った。
飲み水をもらうために、6時間並んだ。
あれから20年。