技術士と情報処理技術者試験の関係について。


CPDから考察してみる。意外と皆、知らないだろうから。



さて。


情報処理技術者試験は、特に合格者に義務は課せられない。


したがって、まぐれでもなんでも、合格してしまえば、実際に実力があろうがなかろうが、かまわない。


そういう試験だ。




だから、合格してしまえばこっちのものだ的な言動が、ネットでよく見られるのだろう。

それでいいのかと、少し思わなくも無い。

しかしそれは、既に合格した者の傲慢な感想かもしれない。

現実に、合格しないことには道が開けない人もいるからだ。

かつての私のように。

だから、あまりここでは触れない。




すれすれで合格しようが、余力を残して合格しようが。


実際には、職場のお荷物的な技術者であろうが、


ばりばりのエースであろうが。


そこに違いは、まったくない。


従って、合格することに価値がある。


かつて合格したという事実だけが、あればいい。



情報処理技術者試験という仕組みが、現状、そうだということであって。

合格者を貶めているわけではない。

私も、情報処理技術者試験の合格者で、その恩恵にあずかっている。






これに対して、技術士は、合格するだけでは、技術士になれない。


公的に登録して、いくつかの責務を守ることを要求される。


要するに、技術士は、合格後も技術士でありつづけることを要求される。


つまり、技術士は、技術士でありつづけることに価値がある。





そんな技術士の義務のうち、今回話題にするのは


資質向上の責務


である。


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(技術士の資質向上の責務)
第47条の2 技術士は,常に,その業務に関して有する知識及び技能の水準を向上させ,その他その資質の向上を図るよう努めなければならない。

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これを守るため、技術士CPDという制度がある。

技術士会のHPには、次のように書いてある。


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Q:技術士のCPDとは何ですか?

A:平成12年4月26日の技術士法一部改正、平成13年4月1日の技術士法施行に基づいて、技術士が職業倫理を備えることを求めると同時に、技術士資質の一層の向上を図るため、資格取得後の研鑚が責務とされ、平成13年4月1日より技術士CPD(Continuing Professional Development)がスタートしました。技術士は技術士法第47条の2により「技術士は、常に、その業務に関して有する知識及び技能の水準を向上させ、その他その資質の向上を図るよう努めなければならない。」こととなっており、技術士会の会員であるかどうかにかかわらず、「技術士の資質向上の責務」が課せられています。

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まあこんなところ。


これ以上は省略するが、実際にこれを守るのは、地方技術者にとって、とてもつらい。

なぜなら、CPDを得るためのセミナーに距離的に参加がむずかしいし、

現在の業務がCPDとしてカウントすることが難しいからだ。


(基本的に、私は組織から表彰などされないポジションだ(w))


残る方法だが、恥ずかしながら、学会発表とか、本を書くとか、今の私にはハードルが高い。


私が、博士号を目指すのは、こういう背景もある。

私は打たれ強い以外に、なにもない人間だが。

技術士になったからには、誰より技術士らしい技術士を目指す。

そうあらねばと思う。



で。ここで情報処理技術者試験が出てくる。


技術士CPDとして、公的な資格取得に要した時間を計上することが認められているのだ。


もっとも、技術士二次試験相当の試験なら10時間まで。


上限は年間20時間まで。


という、全体からみれば、ささやかなものだ。


(この20時間という上限がなければ、地方の技術士は、IT資格試験を荒らし回ってていることだろう。(w

(いい加減にしろといわれそうだ)





聡い人は、もうわかったと思うが。


地方の技術士(情報工学)にとって、技術士CPDを稼ぐには、


年2回の情報処理技術者試験が、とても重要なのだ。


5100円×2で、20時間のCPDが稼げる。


(注:厳しい人は、高度論文区分2つで17~8時間程度しか計上しない人もいるようだ。)




交通費数万円払って、数時間しか稼げないセミナーとは雲泥の差である。


技術士なら、高度論文区分の合格は、それほど高いハードルではない。


(受験番号書き忘れるとかでもないかぎり)


手軽で、リーズナブルに20時間を稼げる、この情報処理技術者試験は、地方の技術士(情報工学)にとって、大変に重要なのだ。





と、いうわけで、技術士(情報工学)の中には、


資質向上の責務を果たすために、情報処理技術者試験を受験しつづけねばならない、悲しい人がいる。(w


ちなみに私がそうだ。もっといるだろう。


おそらく、この技術士CPD制度が徹底されるに従い、そういう受験者は増えるに違いない。





私は疑っているのだが、今の情報処理技術者試験の合格者は、

技術士や、IT資格業界の講師などの、再受験者がかなり多いのではないだろうか。

昨今の合格率の上昇は、そういう部分が考えられないだろうか。


IPAが、あなたは既にこの試験区分に合格していますか?

というアンケートをしてくれれば、わかるのだが。





そういうわけで。


技術士と情報処理技術者試験の関係について、wikiに記事を書くならば。



一部の技術士(情報工学)は、技術士CPDの一環として、情報処理技術者試験を毎年利用している。



という点についても、項を設けておくべきだろう。


地方の技術士(情報工学)にとっては、情報処理技術者試験ほど、重要で、ありがたいものはないのだから。