技術士(情報工学)と情報処理技術者試験について、ここのところ、いろいろと書いてみた。
ただ、ここで書いておくことがある。
情報処理技術者試験の高度区分にしろ、
ベンダーの資格にしろ、
技術士にしろ、
IT技術者にとって、マストの資格はないということだ。
とらねばならない資格はない。
どの資格が必要で、どの資格がそうでないか。
その選択は、IT技術者に委ねられている。
資格は、IT技術者が円滑に業務を遂行することをサポートするものである。
資格で、技術者としての偉さがきまるわけではない。
資格をたてに、害を振りまく技術者など、論外だ。
私は、そう思っていて、しかし皮肉なことに、資格をたてに害を振りまく技術者に追いつめられたために、その影響力から逃れるため、ある意味やむなく技術士取得にまでいたった。
本来の技術士制度の趣旨からいえば、もうしわけないような合格者だと思う。
しかし技術士取得させて頂いて、深い満足感と、使命感を得た。これは技術者として、なにものにも代え難い幸せであって、恩返しをするために、一歩でも理想の技術士に近づき、縁の下から社会に貢献したいと思っている。
だから、他人に対して、技術士とれなければ技術者にあらず。
高度区分とれない技術者は、どうしようもない技術者だ。
なんて、あほうなことを主張したつもりはない。それこそ基地外だ。
技術者は、IT技術を楽しみながら研鑽し、その成果をもって顧客満足と会社の利益を追求し、家族の幸せと社会全体の幸福を実現する。それが本来の姿だ。それができれば、本当は、資格はいらない。
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前置きが長いよな。(汗
ええと、今回は受験の順番。
どのような順番で、IT資格をとるべきか。ではない。
現行の試験制度で、IT資格をとる順番が自然にきまってくる。という話題。
受験のしやすさ、合格のしやすさ。知名度の高さ。
これは、どの資格に挑戦するか、という点においてかなり重要となる。
逆に、これらのパラメタから、IT資格の取得過程は、おおよそ決まってくる。
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ベンダー試験
受験場所:全国(時にはオンライン受験可能)
受験回数:随時(何回でも受験可能)
試験時間:1~2時間
受験申込から合格発表までの期間
:1~2週間
受験資格:下位資格はない。上位資格は下位資格の取得。
受験料 :高い(2~3万)
問題形式:おおむねマークシート
過去問題:使い回しが多い
問題傾向:特定の機器操作に限定される。
合格率 :高い (60%以上の場合もある)
※各ベンダの最上位資格を除く。
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情報処理技術者試験
受験場所:各県1カ所以上
受験回数:年1回 (一部の試験は2回)
試験時間:5時間(一部免除者は4時間10分)
受験申込から合格発表までの期間
:5~6ヶ月
受験資格:ない。
受験料 :5100円
問題形式:午前はマークシート。午後は記述・論文
過去問題:午前は使いまわしが多い。午後もかなり使える。
問題傾向:試験が想定したIT人材の業務に限定される。
合格率 :低い (13%程度)
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技術士(情報工学)試験
受験場所:筆記は12府県のみ。口頭は東京都のみ
(他県の人は交通費・宿泊費要)
受験回数:年1回
試験時間:筆記:5時間30分 口頭:20分+α
受験申込から合格発表までの期間
:11~12ヶ月
受験資格:技術士1次試験の合格
7年の業務経験
業務経歴の提出(会社/社長の公印必須)
受験料 :14000円
問題形式:すべて論文(H25より一部マークシート)
過去問題:まったく使えない。(H25年のマークシートは過去問があったらしい)
問題傾向:なにが出るかわからない。いや本当に。
合格率 :とても低い (10%程度)(H25年は13%だったらしい)
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まあ、だいたいこんなところ。
受験の楽な順、難易度の低い順は、あきらかに
① ベンダー資格
② 情報処理技術者試験
③ 技術士試験
であるということだ。
特に、①は、不合格になったとしても、再チャレンジがすぐできるのに対し、②や③は、半年先、1年先まで待たねばならない。
あと、③の技術士は、合格後の登録料まで含めると、必要経費が10万は突破することも考慮が必要だろう。
で、何がいいたいかというと、たいていの受験者は、資格が必要ならば
① ベンダー資格
② 情報処理技術者試験
これらを先に選択するということだ。技術士は、業務経験7年間を得るまでは受験できないのだし。
下手をすると、この資格の存在をまったく知らない技術者も、いる。
情報工学分野の技術士試験なんぞ、誰もが認めるマイナー試験だ。
取得したからといって、リターンも、まずない。
好んで受ける人はあまりいない。
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だから、受験の順番は、
① ベンダー資格
② 情報処理技術者試験
これを延々、7年か、それ以上繰り返し、
技術士受験資格ができたとき初めて、意識の高い受験者が、相当な覚悟をもって
③ 技術士試験
に挑むことになる。
つまり、試験制度の違いから、受験の順番が自然に発生し、それは
① ベンダー資格
② 情報処理技術者試験
(③ 技術士試験)
となる。(受験者しない人が圧倒的に多いので、③はカッコとした(w)
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なんでこんな事を書くかというと、
技術士と情報処理技術者試験との比較をしているとき
まるで技術士(情報工学)は情報処理技術者試験やベンダー資格をもっていないかのような
そんな議論が発生していることが、ままあるからだ。
いや、それはないない。
なにが悲しゅうて、知名度の低い、何が問題ででるかわからん試験を、トータル10万以上払ってまで、先に受験するのだろう。
5100円で、県内であっさり受けれる試験が、すぐそこにあるというのに。
知名度も上だし。
ふつーは、情報処理技術者試験のほうを選ぶ。誰でもそうだと思う。
そして、己のキャリアパスにおいて、
他にとるべき資格がなくなった人が、仕方なく(w) 最後にとる資格が技術士なのだ。
だから、技術士(情報工学)と、名刺に刷ってあったら、その人の専門分野に関わる資格は、ほぼ総ナメした後だと思った方がいい。
そういう暗黙の事情があるからこそ
「技術士があれば、他の資格を名刺に残す必要はない」
なんて言われるのだ。当然、持ってるものと誰でも思うから。
いや、それとも、いるのだろうか。そんな人が。
「ワタクシ、情報処理技術者試験もベンダー試験も受けたことはありませんが、技術士(情報工学)は持っていますヨ。」
あんた、
ストイックすぎ!!
(笑)