前回
http://ameblo.jp/super--nova/entry-10405026463.html
どこなんだよ、ここは・・・。
一言で言えばそうだな・・・、どこかの建物の一室。
それも、廃墟、と言えるほどに荒れている。
天井のコンクリートはところどころ剥がれ落ちて、そこらじゅうにかつては天井だったものが落ち、壁もヒビが入り、手入れがされていないのは、誰が見ても明らかだった。
あぁ、記憶はとんじゃいないさ、新星だ。
新星の野郎が用意した世界に送るとかうんたらで気づけばここにいた。
と、なればここが恐らく―――――――――新星が創った世界とやらか。
前方5メートル程に見えるのは扉だ、見た目からして廃墟にぴったりだ。
もともとの色は恐らく白だったんだろう、今となっては塗装がはげ、むき出された金属は錆びをていしている。
あの扉の先は何につながっているんだろう、とか思っていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「やぁ、諸君。気は確かか?」
この何度も、聞き飽きたと言っていいほど聞いたこの声は、新星だ。
「ここが俺がお前らのために創った世界だ。
と、言ってもこの建物分の、あの世界に比べればずいぶんと狭い世界だが、お前たちと勝負するには十分だろう。
勝負の内容は簡単だ。
この建物の内部のどこかにいる俺を見つけ出し、俺を倒すことが出来ればお前らの勝ち。
お前らがその前に全滅すれば、俺の勝ち。単純だろう?
建物は迷路のようになっているが、そこまで複雑じゃない。
道さえ間違えなければすぐに俺に会えるさ。
それじゃあ、健闘を祈る」
どうやったのかは知らないが、建物中に響いているのだろう。
余韻を残しながら、新星の布告は終了した。
「・・・、それじゃあ、向かうか」
俺は古錆びた扉の前に立ち、その重い扉を開いた。
―――――――――――――――――――
先程の部屋と同じように朽ちている廊下をひたすら歩き続ける。
所々に扉があるが、今まであけてきたのは何もない空室だった。
窓はないが、なぜか照明はついているので視界は明るい。
何度階段を昇り降りしただろう、一向に新星のいるところまではたどり着かない。
なにが狭いだくそ、世界は広くて当然だ。
時間感覚がわからない、不思議と疲労感もない。
ただ、あてもなくフラフラと先にある道を進んでいく。
分かれ道もいくつかあったが、考える暇なく、決めて進んでいく。
偶然だろうか、行き止まりには出会わなかった。
それでも、道はまだ続いている気がする。
続く、続く、続く、続く。
この建物の大きさはどれ程なんだろうかなんて見当もつかないほど歩いた。
考えてもしょうがないことだと、自分に言い聞かせながらひたすら進んだ。
それでも考えていたことがあった。
新星は世界を創り続けるその先に、何を求めているんだろう。
創り、たどり着いたその世界はどんな世界なんだろう。
新星が立ちたかった位置は、今までいた世界のどこだったんだろう。
新星が望む世界は、一体どんな世界なんだろう。
答えは一向にたどり着かない。
まるで、無限に続く、この迷路のように。
―――――――――――――――――――
ふと気がつくと、分かれ道があった。
右か左か、二つに一つのT字路だ。
正面の壁に、なにやら一文書かれてある。
「自分の信じた道を」
・・・、これに意味があるのかどうかはわからない、ただ、今までどおりに進むまでだ、いや、それしかない。
答えは―――――――――――――――――――真っ直ぐだ。
壁に向かって進み、壁に手を当て、力強く押してみると、壁は割れた。
開けた空間にでた、先程までとはうってかわって、白く、ただ白く、広がっている空間だった。
「・・・ふん。遅かったじゃないか、out」
新星だ、この広い空間に新星がいる、姿は見えないが、存在を認識することは出来た。
「なにが単純だよ、最後のあれはなんだったんだよ・・・」
目には見えない存在にこたえる。
「単純じゃないか、真っ直ぐ進むだけ、非常に単純だ」
声だけが遠く、けれども近く響き渡る。
「そろそろ出てきたら?そこにいるんだろ?」
すると、前方数メートル先に突如黒い霧があらわれ、渦を巻いた。
そしてその霧が自ら晴れるとそこには、新星が立っていた。
「お前が最後だ、つまり、お前以外は全滅、ってことだな」
恐らく、俺が見てきた新星、何一つ変わっていないいつもの新星がそこに立っていた。
「ん?じゃあ、俺がお前に負けたら全滅?うげ、それなら他の奴らをどこにやったんだよ?」
「・・・見たい?」
新星はそう言うと歩きながら、指で横に延びた楕円を描き、結んだ。
すると、その空間は割れて、と言う表現がぴったり当てはまる、暗い空間が見えた。
その空間の奥、みんなの姿が見えた。
・・・よくわからないカプセルっぽいものの中に。
「あいつらに何をした・・・?」
自然と敵意が口調に含まれてしまう。
「そう怒るなって・・・、ただ眠ってもらっただけだ、記憶を消す準備をするためのな」
あぁ、そうだったな、そうするんだったな。
新星は一つ溜息をつくと、その空間の裂け目を閉じる仕草をして、その空間は閉じられた。
「さて、始めるか、俺の思いと、お前の思い、どっちが強いか、だ」
そう言って新星は右手を高く掲げた。
「舞え『黒霧』」
そう言葉を唱えると、何度か見たあの黒い霧が新星の右手に集まり、何かの形を示しだした。
全長1メートル以上はあろう、柄も刃も全て黒に染まった、太刀だった。
それを見たとき、不思議と、何も思わなかった、不可思議なものだとも思わなかった。
逆に、頭の奥隅にある、何かの記憶の存在を思い出させた。
確か・・・。
「射て『白鶴』」
頭に浮かんだ言葉はそれだった。
すると、俺の両手は白い光を放ち、やがてその光は、白く輝く弓の形を示していた。
「あぁそうだそれでいい、そうじゃなきゃ勝負は成り立たないからな」
新星がそう言って掲げていた太刀を構え、その場はしばらく沈黙に包まれた。
先に動いたのは―――――――――――――――両方だった。
部屋の片付けめんど。
んじゃまた。