「編入編 2」
俺と新星が席に着くのを確認して、遅刻魔先生は朝礼をぼそぼそと始めた。
「えー、皆さん今日も元気に過ごすのねん、今日は特に伝達事項はないのねん。強いて言えば俺は鬼畜ちゃうねん。以上、号令」
「起立」
と、先ほど先生から紹介された委員長のshibaさんが号令をかける。
「気を付け、礼」
そして、ありがとうございました、とありふれた挨拶がこだまする、ほどの声量は出ていないが。
「あ、それと先程も言った通り、転入生の二人はshibaさんに任せたねん、これは決して放置プレイじゃないねん」
と遅刻魔先生は捨て台詞をはいて教室を後にした。
「ねぇ、out君はどこから転校して来たの?」
と、不意に隣の席からブレイズさんが声をかけてくる、体の向きを転換してブレイズさんのほうを向く。
「同じ市内だけど・・・」
ちなみに俺らが住んでいる市には学校が三つしかない、俺らが元いた所と、紙村学園と、なんたら女学院だったはず。
「じゃあ、あのほにゃらら学園ってとこ?」
だいたいあってる。
「もしかして新星君も同じとこ?」
だいたいあってる。
「どうして急に転校とかなったの?」
神様に導かれて・・・。
「へぇー、変わってるんだねぇ」
など、他にも色々聞かれたところで、一時限目開始のチャイムが鳴り出した。
「所で、今日最初の授業って何?」
と、今度は俺がブレイズさんに聞き返す。
「遅刻魔先生の現代文だよ」
へぇ、あの先生国語教諭なんだ・・・、とか思ってると教室のドアが開いて遅刻魔先生が教室に入った。
「それじゃあ授業を始めるねん、号令」
そしてshibaさんの号令と、他の生徒のお願いしますで授業は始まった。
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「この空海の謎の空白時代が―――――――」
と、遅刻魔先生の授業を遮るかのように授業終了のチャイムが鳴る。
「じゃあ、ここで終わるねん、号令」
「起立、気を付け、礼」
ありがとうごうざいました、先程と同じ流れがそこにあるだけだった。
まだ板書を取り終えていないところがあるので、再び着席してペンを持つ。
・・・、空海最強説か。
板書を取り終え、ノートと教科書を机にしまうと、右サイドに新星が立っていた。
「こわっ、どうしたんだよ」
と俺が先に声をかける。
「どうだ、この学園?」
と、そこそこ無表情で新星は俺に尋ねてくる。
「どうだもなにも、まだ数時間しかたってないんだからわかるはずないだろ」
取り敢えず率直な意見をそう伝えることにした。
「そうか?俺はそこそこいいところだと思うけどな、なんて言うか」
「自由で」
と、最後のところだけなんかハモった、確かに自由な感じはするけど。
なんかおかしくなったので二人で笑い続けた。
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「おい、アホ二人、次は移動教室だ、行くぞ」
と、俺と新星が笑い合ってるのを遮ったのは、shibaさんだった。
あぁ、そういえば担任に俺らを任されたのね・・・。
「アホ言うなよ・・・」とか新星は呟いていたが、移動する準備を渋々していた。
「あ、次の授業は何ですか?」
と俺はshibaさんの出す無言のプレッシャーを感じてしまい、下手にでながらそう聞いた。
「ん、次は情報の時間だ、道のりは私についてきてくれ」
shibaさんはそう言って足早に去っていった、待ってくれ。
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幸い、情報の授業で使うコンピュータールームは同じ校舎にあるようなので移動時間はさほどかからな
かった。
担当の先生は男の先生で、やたらと口調が早い先生だった、ぺちゃくちゃ喋るので、少しイライラした
。
困ったことに、俺の家にあるパソコンと学校のパソコンのOSが違ったのでかなり戸惑ってしまった。
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そんな感じで三時限目、四時限目と過ぎ、ついに昼飯の時間になった。
聞くところによると、この学園の昼飯事情は、購買派と学食派と持参弁当派に分かれているようだ。
あいにく弁当は持ってきていないので、購買か学食になるわけだが・・・、どうしようか。
ニア 購買
学食
→購買
学食
一人で、しかも編入初日で学食に行くのは果てしなく勇者なような気がしてきた
ので、
ここは無難に購買で腹を満たすことにした。
ちなみに新星は豪快に、何かの麺をすすっていた。
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さて、謎に広いこの『紙村学園』。
校舎は各学年に一つ、そして複数棟の巨大な講堂、さらに体育館が三つ、運動場が四つとプールが二つ。
これだけの施設を設置してもまだ余りある空きスペース。
最早大学並である。
学園内には川も流れているし、池もいくつかある。
自然林をそのままにしてたりするので豊富な木々、竹林まである始末。
なんか独特な環境により、独自の生態系まで出来ているらしい。
さて、何故俺がこのように『紙村学園』の広さを伝えているのかと言うと。
「あのー、購買はどこにありますかね?」
購買部の場所でさえわからずに、迷っているからである。
そんなわけで、空腹には耐え難く、人見知りをかなぐり捨てて、偶然正面を歩いてきた女の子に尋ねる事にした。
「は?あんたこの学園の生徒なのに購買部の場所を知らないの?」
女の子は大層呆れた顔でそう言った。
この子、身長めっちゃ低いのに、なんて高圧的な態度だ!
ひとまず理由を告げよう。
「いやあのー、今日編入してきたばかりで・・・、フヒヒwサーセンwww」
・・・・・・・・・・・・。
しまった、つい焦って変な人間みたいになってしまった・・・。
彼女はと言うと・・・。
「・・・・・・」
完全に汚らわしい物を見る目をしていた。
う・・・、ど、どうしよう・・・。
「あー、私も今から購買に行くから、ついて来るといいわ」
と彼女はそう言った、やはり、目線は逸らしながら。
不審者だとか言って職員室に連行しないよね?
「しないわよ!」
と、若干声を荒げた彼女の顔は、中々可愛らしかった。
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「んで、今日編入してきたんですって?」
俺の前を歩く彼女は、振り向かずにそう言う。
「あぁ、うん」
間違っちゃ無いし、と言うか正解なので、そう答える。
「クラスはどこなのよ?」
相変わらず進行方向を向いたまま、彼女は言う。
「A組だけど」
確かA組だったはず。
「A組・・・、と言えば・・・。あぁ、あの女のいるクラスね」
あの女?
「うん?あいつよ、あんたのとこの委員長。shiba、ってのがいたでしょ?」
あー、あのちょっと怖そうな人。
「そうそう、・・・、ところで、あんたは何て言うの?」
へ?何が?
「名前よ名前」
あー、名前ね。
「all-outって名前」
「ふーん・・・、私はTERU。B組の委員長をやってるわ。よろしくね。ちゃんと覚えておくのよ?」
よろしくね。
彼女――――――TERUのその一言から、どうやら俺は不審者から、A組の生徒に格上げされたようだ。
「よろしく」
素直に、そう返した。
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結構な距離を歩いた頃、前方数メートル先に、何やら人ごみが出来ていた。
なんとなく、それが何なのかは予想がつく、あれが恐らく、
「あの人ごみの向こうに購買があるのよ。ったく、ちゃんと列に並ばないといけないのに・・・」
人ごみの向こうに、恐らくパンやらおにぎりやら弁当が売ってあるのだろう。
正直、ここからじゃ何がどうなっているとか、まったくわからない、人ごみが凄くて。
なるほど、彼女はやはり委員長なのだろう、規律が守られていない状況は、腹に据えかねるらしい。
「何が食べたいのよ?」
唐突に彼女は、人ごみの方に目を向けながらそう言った。
「何がって、聞いてどうするの?」
「私が買ってきてあげる、って言ってんの。この人数じゃ、めぼしい物はないから、系統だけ絞ってちょうだい」
彼女は振り返り、眉間に皺を寄せながらそう言う。
「いやいやいいよ、自分が行くって」
俺がそう言うと、彼女はため息をつき、こう続けた。
「あんた・・・、何もわかっちゃいないわね。あんたのような新参者、購買初心者があの腹をすかした野獣の群に突っ込んでみなさいよ。2分後にはぺらっぺらになったあんたがその場に残されている未来が容易に想像できるわ。私の身としてはこの無秩序空間で怪我人が出て欲しくないのよ、自分の保身のためよ」
・・・、まぁ確かに、新参者で購買初心者の俺にはその辺はまったくわからないが。
うーん、彼女がそう言うんなら任してみようか。
「それもそうか、じゃ食べたいのは・・・」
→パン
おにぎり
弁当
前半見たことある人もいるかもね。
まぁ、暇つぶし程度にです。
んじゃまた