今月、「週刊少年ジャンプ」で1年半もの間休載中だった『HUNTER×HUNTER』が満を持して再開した。相変わらず画は荒く(?)、しかも10回分ほど原稿が貯まっただけでまたすぐ休載するという話だが、それでも待ち焦がれたファンたち(筆者含む)は大喜びしているようだ。 しかし解せないのは、そもそもの休載理由。子供のお受験だとか、病気だとか、様々な憶測が飛び交っているが、本当のところは明らかにされていない。それに、そんなワガママを許すジャンプ編集部と富樫先生の関係って? 我々編集部では、同漫画がまだ連載再開前の時点(「サイゾー」10月号)で、その裏側に探りを入れていた。その内容をここで紹介したい。(編集部)※以下、当時の記事より抜粋(中略)連載再開の知らせは、ファンにとって喜ばしいものだが(中略)一部のマンガ編集者の間では、「冨樫を超えるマンガ家をもっと輩出しないといけないのが『週刊少年ジャンプ』なんだから、冨樫にまだ頼っている編集部はヤバいのでは?」といった、厳しい指摘もある。「本当は、冨樫さんが今『もう一度描きたい』って言っても、『今さら何言ってるんだ』と、編集部が制さなきゃならないんですよ。それなのに、連載を喜んで再開させちゃうのは、ジャンプが弱体化してることの表れですね」(元編集プロダクション社員) 1998 年から連載を開始した同作は、アニメ化もされた大ヒット作品だが、開始翌年から徐々に休載が目立つようになり、06年にはたった4回、07年においては、この原稿の執筆時点で、まだ1回も連載誌上に掲載されていないのだ。公式にジャンプ編集部から発表された休載理由は「体調不良」「作者都合」といったものだが、休載の間に冨樫がコミックマーケットに参加していたことなどから、「編集部との確執が原因で、連載がストップしているのでは?」など、穏やかでない憶測もファンの間で囁かれてきた。 それにしても、1年半もの休載を経ても根強いファンを持ち続ける冨樫義博とは、一体どんな人物なのか?「週刊誌のマンガ家のほとんどは、その週その週で物語を考えているものですが、富樫先生は連載開始の時点で、だいたいのプロットを作っているんです。それに、アシスタントを使うと、自分は中途半端な仕事しかしていないように思うらしく、なるべく全部自分でやろうとするタイプ。だからこそ、連載中は肉体的にも精神的にも苦しみやすいようです」(マンガ関係者) 一方で、別の関係者は、マンガ家・冨樫義博への高い評価を示している。「冨樫先生ほどの完璧主義者は、本当に珍しい。編集者の中でも、『担当になるのは嫌だけど、あの人は天才だ』って、みんな認めてるくらいです。ただ、付き合うのは本当に大変だそうで、締め切り直前は24時間つきっきりで、描き上げてもらうまで一言もしゃべらず黙々と待つのもザラだとか。で、描き終わった直後に原稿を投げられて、床に散らばった原稿を拾って入稿するらしいです(苦笑)」(フリーのマンガ編集者) また、「今は7歳になる子どもの子育てがいちばん楽しい時期なので、そっちに夢中で仕事はほとんどしていないのでは?」(前出・マンガ関係者)という声もあるが、自分の子どもだけではなく、『HUNTER×HUNTER』の再開を待ちわびる子どもたちにも、夢を与えてほしいところだ。 このように、マイペース主義を貫く冨樫義博と、今のところ彼のペースに巻き込まれっぱなしのジャンプ編集部。(中略)再び休載続きにならないか、今後の動きに注目したい。