■読了日

・2022年07月21日

■書籍名

・私が語り始めた彼は

■著者

・三浦しをん

■メモ(感想など)

・大学教授の村川について、元妻、不倫相手、弟子など複数の人物の視点によって語られる。 村川は愛を求めてたくさんの女性を求めた。 その結果たくさんの人が不幸になった。 辛い思いをしながらも、誰もが村川に一番愛されたのは自分だと競い合う。 誰として村川のことも愛のことも理解などできていないのに。


■気に入った文言

・25p

「女は自分以外の女の存在敏感だから、男を引き止めるためになんでもするわ。夜はどんどん濃密に、情熱的になる、…わかるでしょう?男はその歓びを享受する。女たちはエスカレーターする。その繰り返し。」

・50p

「私は、私にとっての真実をかたりました。事実は一つですが、真実はきっと人の数だけあるでしょう」

・173p

「男の人がおじさんになるのって、いつだかわかりますか?」

「年齢じゃないんですよ。女の人におべっかを使うようになったら、そのひとはおじさんなんです」

・271p

だれもが、先生に一番愛されたのは自分だと競い合った。しかし、その答えは結局だれにも解き明かせないまま、先生とともに灰と化してしまった。先生の心に触れられた人は、はたしていただろうか?

・287p

先生は女たちに愛を求め、女たちは先生を愛した。だが、先生を理解したものはなく、先生に理解されたものもいない。