中医学の視点、浮腫とは何か?


浮腫は中医学では体液代謝の異常によって体内に水分が停滞する症状とされています。浮腫の症状は多様で、軽度の四肢浮腫から重度の全身浮腫まで様々であり、皮膚の張り、皮膚を押した際のへこみ、体重増加などが見られます。中医学の理論によれば、浮腫の形成は肺、脾、腎の三つの臓器の機能に密接に関連しています。消水腫中薬は中医学の治療において重要な役割を果たしています。


浮腫と肺の関係


中医学の理論では、肺は「気の主官」とされ、呼吸に関連し、全身の気機の運行を支配しています。肺には「下輸水道」の機能があり、吸入した清気と変換された水分を腎と膀胱に送ることで、水分の排泄と循環を助けます。

 

  • 肺の宣降障害:肺の宣発と降清機能が阻害され、水分を下方に送ることができないと、水分が肺部や体表に蓄積し、顔や上肢の浮腫として現れます。この場合、消水腫中薬を用いることで肺の機能を改善できます。
  • 肺熱による津液損傷:肺に熱邪が侵入すると津液が損傷され、水分が正常に代謝されず、浮腫を引き起こします。消水腫中薬は熱を取り除き、浮腫の症状を軽減するのに役立ちます。
     

浮腫と脾の関係
 

脾は「後天の本」とされ、主に消化吸収と水分の運輸と変換を担当します。脾は食物の精微を気血と水分に変換し、水分を全身に送ったり腎に送って排泄を行います。

 

  • 脾虚:脾気が不足すると、水湿を運化できず、水分が組織間に滞留し、特に下肢に浮腫が現れます。消水腫中薬は脾を健やかにし、気を益し、水分の運化を促進します。
  • 湿困脾腎:長期の脾虚や不規則な食生活が湿邪の内生を引き起こし、さらに水湿の停滞を悪化させ、より重度の浮腫を形成します。消水腫中薬を使用することで、湿を取り除き、水を排出します。

浮腫と腎の関係

 

  • 腎は中医学で「水の主官」とされ、主に水分の代謝と排泄を担当します。腎の陽気は「命門火」と呼ばれ、全身の水分代謝と排泄を推進するエネルギーを提供します。
  • 腎陽虚:腎陽が不足すると、水分代謝を推進するための熱エネルギーが不足し、水分が体内に蓄積し、全身性浮腫を形成します。消水腫中薬は腎陽を温め、水分代謝を促進します。
  • 腎陰虚:腎陰虚は腎陽が相対的に亢進し、水分の正常な代謝に影響を及ぼし、尿が少なくなったり、夜間尿が頻繁になることがあります。消水腫中薬は腎陰を滋養し、水分の循環を改善します。

このように、中医学の視点から浮腫の原因と臓器の関係を理解することで、効果的な治療法を見つけることができます。消水腫中薬はその治療において重要な役割を果たしています。