以前、起立性調節障害の娘の状況を振り返って、私がやって良かったなあと感じたことは、《「良い栄養」と、「体の休息」、「心の休息」、「楽しいことで活動量を増やす」、「学校は行けなくても定期的に人と会う」…その五つくらいかなあ」と書きました。

(あくまで私の感想ですので、ODっ子皆様に当てはまるわけではありませんし、皆様の治療に意見するものでは無いです)

 

書いた後、なんか忘れてる・・・とモヤモヤしていて、そうだ、肝心なこと抜けてた!と思ったので、追記です。

 

体調悪いと、漫画読んだりスマホ見るくらいしかやる気にならなくて、一日ゴロゴロしながらスマホ漬け・・・みたいになっているOD &不登校の子、結構いらっしゃると思います。例に漏れず、うちの娘もそうなりました。「ずーっと具合悪いわけじゃ無い、動ける時間もあるんだから、その時間で少しはやることやってよ!」って、イラっとくることもありました。

 

スマホやりすぎは脳に悪い。親は注意したい。スマホ見て笑ってる姿に、やることやれという気持ちがムクムク。これ、普通の心理かなと思う。

私もやりすぎ注意しました。


そんな時に、娘・花が「好きでずっとスマホやってると思ってるの?具合悪くてそれぐらいしかできないから、やってるんだよ!ほんとは部活だって行きたいし、みんなと遊んだりしたいよ!」って、叫んだんです。ハッとしましたね。「だよね。それぐらいしかできないほど具合悪いんだよね」って。


”ODは、周囲からはそこまで具合悪く見えなくて本人の苦しみが誤解されやすい病気”って勉強してきたはずなのに、私がそこの部分で、本当の理解を示していなかった。私だって、風邪で具合悪い時に、勉強する気にはきっとならないし、家事だってサボりたいもんね。

 

ただし、もっと重病な人だって、院内学級通って勉強したりもするんだし、学生である以上勉強はしなきゃダメだという話は時折して、でもやる量は、一問でも、自分でできると思える量でいいよって。学校から渡されるプリント、全部間に合うペースじゃなくてもいいよって、いうことを伝えました。で、日中具合悪い時のスマホはご自由にってことにしました。夜遅くは、時間を決めて取り上げましたけど。

 

そんな生活の中、スマホで娘が何をしていたかは私ノータッチでした。でも、後から聞いたのですが、娘は娘なりに、ずっとこのままでいたくないともがき苦しんでいたのですね。自分でODの人が書いたブログにたどり着いて読んでいたり、いろんな情報を手に入れたり。あとは、自分の現実から心が解放される動画を見まくっていたようです。詳しくは、秘密だそうです。当たり前か(笑)

 

前置きが長くなりましたが。(なんとここまでが前置き、すいません!)

で、そうした動画の中から、当時中学生の娘に大きな影響を与える作品と出会うのです。「暗殺教室」です。アニメ化もされた漫画です。

 

私ね、本でも映画でも漫画でも、フィクションだろうがノンフィクションだろうが、作り手の思いやメッセージがしっかり届いた時に、それこそ人生を左右するほどの影響力を持っていると思うのです。自分にとっての大切な出会いです。「大切な本一冊は、親友一人に匹敵する」と思うのです。そして、そんな作品に出会えた人は、幸せです。

 

何かから感銘を受けて、「自分の中に生まれた動機」は、親が与えてあげられるものじゃありません。自分を変えていけるのは自分しかないのですから。


そういう点で、アニメだろうが漫画だろうが、ゲームだろうが、感動するものにはたくさん触れれば良いのです。花にとって、この「暗殺教室」は、そんな作品の一つになったようです。

 

この作品、読まれたことありますか?それまで私はきちんと読んだことはありませんでした。

題名からすると、大人が読んで楽しい感じには思えなかったので。それが大間違いの、とっても良い作品でした。誤解してたよ、ごめんなさい!(詳しく知りたい方は、読んで見てくださいね。主人公は、落ちこぼれの集まり中三のE組の生徒たちと、殺せんせーという超生物。私があらすじ書いても魅力は伝わらないので省略〜。)


 

この作品に、当時の娘、ガッツリハマりました。自分と同じ中学生が主人公というのも良かった。漫画も読むし、アニメも繰り返し繰り返し観る、観る。・・・たっぷり時間があるものねぇ、あなたには。飽きずに観る、読む、観る、読む・・・を繰り返し・・・自分の推しキャラについて熱く熱く語り、一人でキャーってなって・・・。どれくらいが過ぎた頃でしょうか。

 

花が、立ち上がろうとしているのが感じられるようになってきたんです。気持ちが、部屋の中から、少し外に向いてきたというか。

大げさにいえば、自分の人生を切り開く力をつけなきゃ、という前向きさが芽生えたように感じたんです。

それが、おりしも暗殺教室の主人公たちと同じ中三の後半でした。

通信制高校への進学を決意し、自分の気持ちに折り合いをつけて、できる範囲で頑張ると塾へも行き始め、少しずつ歩き出した。

そして、体調の上向き加減がうまく噛み合って、今があるのです。

 

そう。とっても大きな影響を受けたこのマンガ・アニメは、スマホ漬けの生活の中で得られたものだったのです。

スマホを推奨しているわけではないですよ(笑)見る時間は少ない方が絶対脳には良いし。発達凸凹の子は依存になりやすいのは本当だし。



悪いだけに見える生活の中にも、人生の支えになるものを見つけられることもある。・・・子どもは子どもなりに、自分と格闘している。立ち上がる動機を自分で探してみつけるかもしれない。

絶望的に見える中にも良いこともある。そんな話です。2年前のこと。