いよいよ看護師さんが迎えに来て、手術室に向かう。
手術室は、同じフロアにあるのでそこまで歩いていく。
お姉ちゃんと母親も一緒に来てくれた。
「じゃ、いってきます!
」
と、自動ドアが閉まって見えなくなってしまうまで、
二人にずっと手を振り続けた。
二人の部屋が見えなくなってしまうと、いよいよここからは一人きり。
手術をするのだという実感が少しずつ湧いてきた。
中に入ると、少し広い空間があって
そこではいろんなスタッフの方々が、手術着を着て忙しそうに動いていた。
ここは大学病院のせいか、比較的若いスタッフの方々が多い。
私が見たのも、ほとんど20代中盤くらいの方々ばかり。
何をすればいいのか分からずボーっと立っていると
若い女性の看護師さん二人が
「本日担当をします〇〇と××です」
と自己紹介をしてくれた。
担当と言っても実際に執刀するわけじゃないし、
手術のどこの部分を担当してくれるんだろうなぁ?
と疑問が湧いたけど、ここでいつもの質問癖を披露しては、
忙しいだろうし迷惑になると思って、ぐっと我慢する。
その後、奥にあるパイプ椅子に座るように言われて少し待つ。
患者さんを間違ってしまうことのないよう、
何度も名前の確認、手術の箇所の確認があった。
手術前はみんな緊張していて、
聞かれた時に適当に「はい」と答えてしまう人がいるせいか
「お名前と生年月日を教えて下さい」
「手術をする個所を教えて下さい」
と質問されて、自分の口で相手に答えなければならない。
「それでは行きましょうか。」と言われて、いよいよ本当の手術室に向かう。
しばらく歩くと、手術室が沢山並んでいる場所に来た。
それぞれの部屋には、入り口に大きく番号が書いてある。
一番奥の1番の手術室です、と言われて入ると
映画やドラマでしか見たことのないような手術室の光景が広がっていた。
手術台の上にあるライトはまだついてなかったけど
部屋全体が、なんだかとても明るく感じた。
既に何人か看護師さんもいて、部屋全体に活気があった。
手術室まで歩く途中のこと。
私の手術を担当してくれることになっている看護師さんの一人が
「大丈夫ですか?」と話しかけてくれた。
どうしてだか覚えていないんだけど、その時にレーシックの話になった。
私は以前にレーシックの手術をしたというと、看護師さんは
「えーそうなんですか!私やりたいけどなんだか怖くて…」
といった。
麻酔をすると痛くなかったし、手術の後は裸眼で生活できるようになって
とても快適になって良かったですよ、と言うと
「そうなんですよね、麻酔するから大丈夫なんですよね、
分かっててもやっぱりなんだか怖くて・・・
きっと、今からの手術も怖いですよね。緊張しますよね・・・」
と言ってくれた。
・・・そうなの。緊張するの。
痛くはないだろうと思っているけど、緊張はするの。。。
あの状況で看護師さん達は
事前のチェックやそれぞれのやるべきことが大変で
「手術を受ける患者」というのは一人孤立していた。
手術の準備室で同じように、
私とおそろいの手術着と白い靴下を身に着けたおじいさんが
遠くの方でぽつんと座っているのを見て、
「あの人もきっと同じ気持ちなんだろうな・・・」と思った。
だから、そうやってその看護師さんが私に話しかけてくれて、
緊張している気持を分かってくれている、
それだけで、なんだかずいぶんと気持ちが落ち着いた。
優しい看護師さんが、気持ちに寄り添ってくれたことが嬉しかった。

