悲しい別れから少し日がたちました。

くうちゃん、お前はどこにいる?

わかってはいるものの、問いかけずにはいられませんでした。

ウチに来て幸せだったかい?

昼夜問わず、決して返事がないのはわかっているのに、自分の中で何かしらの答えをみつけようとしていました。

今の部屋に引っ越しする前でしょうか。

くうちゃんがこんなことを言ったような気がしました。

(とーちゃん、くうちゃんが来たときからすっかり元気になったね。これからかーちゃんもいるし、もうくうちゃんの役目は終わったよ)

もちろん猫がそんなこと言うわけがありませんし、そもそもぼくもお別れを望むわけありません。

でも、とても優しいうるんだ瞳でこちらをじっと見つめ、頬をペロリとなめて甘えるくうちゃんがそう言っているような気がしました。

(そんなこと言うなよ。猫は今、20年以上生きるんだからね)と、いつもよりたくさん撫でまわしました。

それからずっと、正直不安でした。

たぶん、お互いに薄々わかっていたのかもしれません。

帰宅時に姿が見えないと慌ててベッドをめくり上げて、「にゃ」という声に胸をなでおろす毎日ではありました。

最近ではこちらが夕食を食べ終わるのを待ってて、何故か、必ずかみさんに抱っこしてとせがむのも不思議でした。

絶望の淵から救ってくれて、たくさんの愛と幸せをもたらしてくれた黒い猫との思い出は、生涯忘れることはないでしょう。

置いてけぼりをくらってしまったからには、とーちゃんはまだこれからやらないといけないことがあるのかな?

くうちゃん、そうなんだよね?