PEEL SLOELY AND SEE
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桃の節句

うちではおひな祭りでも雛人形なぞ出しゃしないので、代わりに芥川龍之介の『雛』なんぞを思い出してみたりするのです。
どういう話かというと、明治の頃に、商売のいけなくなった一家が、ちょっとした財産である雛をアメリカ人に売り渡すことにするが、そこの娘がその前に一目だけでも雛を見たいとせがむ、というのがこの小品のあんまりに雑な大筋であります。
土蔵の中でじっと暮らす一家の話は、夢の中で夢を見ているような哀切がはかなく美しいです。そこだけ時間の流れから切り取られた一枚の絵のようですらあります。それだというのに、不運の末とはいえ蔵暮らしに甘んじている父親よりも、文明開化の狭間で終始いらいらしている兄よりも、雛を見たいとだだを捏ねていたお転婆娘が、はっとするほど大人の女性に変貌を遂げる最後の最後の瞬間に、物語はぶつんと途切れます。そして続く僅かながらの筆者の回想風の文章に、読者はむざむざと、しかし的確に感傷を引き裂かれるのです。だからなんとなく頭から離れないのがこの話のすごいところだと私は思うのです。
そんなおひな祭り。今は雪が降っています。

お手軽に読めます。いつもありがとう、青空文庫。
【青空文庫】 芥川龍之介 『雛』

芥川龍之介全集〈第10巻〉雛・保吉の手帳から/芥川 龍之介
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だって、悲しすぎるじゃない?

PEEL SLOELY AND SEE-これはCOVAのケーキ

~買い物から帰宅途中の電車の中で耳に入ってきた若い男女の会話(一部抜粋改変)~

女「(ビニール袋から購入したらしいカラーファイルを取り出す)これ、すごくない?めっちゃ分かれてるんだ。12個。12個(ファイルに仕切りが12あるらしい)」
男「あ、いいじゃん」
女「ちょっと勉強がんばらないといけないからさぁ」
男「あなた、学生時代から勉強とかしてないんでしょ。だったらまだ脳みそに使ってない容量いっぱい残ってるって。フロッピーディスクの容量が残ってるみたいにさぁ
女「そうだね。あはははは」
男「あはははは」

通常のフロッピーディスクの容量は 1.44MB と現在のICメモリカードの発展ぶりからするとかなり少量です。何故そんな前時代的な磁気ディスクにこだわる必要があったのか。こだわるならHDDじゃダメだったのか。

女さんに恨みはないが、男君が彼女の脳の出来を揶揄した確信犯だったと私は信じたい…。