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 製作体制一新 + キャスト一新 + 脚本・構成一新
 コアイメージ一新

 再起動でなく、新たな始まり。9課の始まり。
 それで『攻殻機動隊 ARISE』てことらしいです。
 本PV公開ということで、今日はその考察します。アニメ専門誌とか読んでないんで頓珍漢なこと書くかもしんないけど。

 まず、パッと見で明らかに画面の色彩が違う。

 『Stand Alone Complex』では背景美術が緑/白色基調で色彩設計は明るめ。日常の延長を演出していました。これは原作のサイバーパンクな舞台設定を社会現象として考察する上で当然の帰結。
 SFでは珍しいが、結果的にこの演出は大正解だった。I.Gはこういうのほんと上手だね。タツノコの遺伝子かね?

 対して『ARISE』は赤/黒を基調とした画面作りで色彩も暗め。特に背景では『S.A.C』のイメージカラーとは反対色の設定に。明らかに意図的で、『S.A.C』とは文字通り対称的な位置付けになるんでしょう。
 原作を壊さない程度の新たな考証で舞台を整えつつ、マクロ的現象よりも主体的な視点で描く、より具体的な草薙素子の物語になるんでしょう。たぶん。

 ということで、『S.A.C』(特に第1シーズン)で裏主人公だったトグサくんは必然的に脇役へ戻り、替わりに荒巻が第二の主役になるのではないかと思います。公安9課設立に関して、草薙と荒巻はまさに生みの親だし、何より荒巻なくしてその後の『少佐』は無かったわけだし。これはフリークならずとも攻殻ファンなら受け入れやすいんじゃなかろうか。


 映像面でも、動きの少ないシーンを効果的に多用した『S.A.C』より全体的に活発な印象になるだろうし、それは上のPVを見ても確実だろうと。『S.A.C』でのタチコマにあたる“ロジコマ”には搭乗ポッドが無く、代わりに脚部に携行武器収納庫を装備している。これも明らかに生のキャラクターによる芝居を"立てる"為の大胆なデザインで、攻殻シリーズの中の『ARISE』を位置付けるにおいて大きなトピックだと感じました(或いはこれが原作者の士郎氏のオーダーだとすれば、「今回はアクションで一本芯を通したい」という意思表明であったかもしれません)。
 サイバー空間に留まらない電子戦を予感させるキャラクターの存在も明かされているし、これは新しい攻殻の夜明けになるかもしれないな、という可能性を感じるところです。


 ただ、『S.A.C』に親しんだ者としてはSteve ConteやScott Matthew、Ilaria Graziano等の魅力的なヴォーカリストが(おそらく)去ることで、『S.A.C』に特徴的だった、硬質な画面をBGMが叙情的に盛り上げるカタルシスがどう補完、あるいは置換されるのかが不安材料ではあります。
 もっとも、『S.A.C』のような長編作品ではないので、サイバーパンク全開でとんがって、シナリオはオーソドックスなサスペンス&ミステリーで一気に突っ走る…というのもアリだとは思います。劇伴はコーネリアスだっていうし。ただ冲方氏が脚本・構成の全てをやるということで、確実に(しかも変化球で)絡めてくるであろう草薙の心象・交錯をどういう風に織り込んでくるのかが興味あります。

 しかしアニメ界でもとりわけ“しっとり系”な草薙素子という人の内面を基礎にドラスティックな世界観を構築するのは、素人目線でけっこう難しいんじゃないかと感じます。冲方氏のことだから斜め上からキレのある球をズバッとストライクに投げ込んできそうではあるので悲観はしてないですが。
 ここでも『S.A.C』とは対称的に、サウンドでカバーしきれない心理描写をアニメータ出身の監督が絵と声の芝居の方面から演出していくという方向性になるのかしら。
 そういう意味では、演者陣を一新しつつ、草薙役の経験がある坂本真綾をメインキャストとしてスライド登板させたあたりにはけっこう明確な理由があったんじゃないかと感じます。
 押井版、神山版を通して草薙素子役を田中敦子と共有してきた彼女の"少佐っぷり"には実績があります。草薙に関しては、シナリオ的な仕掛けよりも画作りや役者の力でお客に情感を喚起していくのだろうと推察します。


 まー、なんだかんだ言っても攻殻シリーズはこれからもProduction I.Gのキラーコンテンツであり続けるのだろううし、押井版とも神山版とも明確に違った『第三の攻殻』への挑戦は、続編を望む声が多い前者2つの攻殻との棲み分けができるという点において、ファンとしてはポジティブに捉えて良い決断なのかもしれません。


 ただ、一部キャラクターの造形にはどうしても腑に落ちないところがあるのよね…。
 特にサイトーさんとパズさん。

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 お、おぅ…そうか…そうなったか…。

 でもサイトーさんはまぁ、いいとしよう…。かなり草生えそうだけれど、ギリギリ受け入れ可能。毛が無くなっただけよ。ナベQだって中日WADAだって毛がなくてもやっていけてるし問題ないわ(震え声)

 問題はパズさんよ。パズ。
 単独での内偵任務を得意とするハードボイルドなオッサンとして、大いに人気を博したパズさん。左が『S.A.C』版で右が『ARISE』版。
 あのさぁ…。

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 これもうわかんねぇな…

 マジでどうなってんの何度見ても大草原不可避なんだけどこれまじでちょっと…キャラクターデザインどうなってんですかね…(困惑)
 これは劇場で見たら100%声が出ますよ。やばいやばい
 で、でもまぁ、きっと実際映像になったらきっとかっこいいパズさんにきっと会えるかな、きっと!(白目)


 じゃけん、『ARISE』はレンタルで自宅視聴しましょうね~。