手のひらを太陽に | alcyoneのブログ

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手のひらを太陽に




ここでちょっとしたエピソードをご紹介。

それは今から遡ること、およそ3年前。

イトカワからの2度目の離陸後、燃料漏れによりバッテリ温度が低下したはやぶさは、電力を失い2ヶ月弱のあいだ地球との交信を絶ちました。

関係者やサポーターの脳裏に、最悪の想像がよぎりました。

何せ、それまで経験したリアクションホイール(米国製)の故障やスラスタの異常とは比較にならない、深刻な事態であったからです。

しかし現在我々がよく知っているように、はやぶさはこの絶体絶命の危機を脱しました。

その旅路の全航程が職人技と奇跡の連続であったと言われるはやぶさの旅が、そもそも『奇跡』という言葉で彩られるようになったのは、丁度この事件を乗り越えた頃からでした。

またこの時期を境に、海外の宇宙開発関係者の間では『Phoenix HAYABUSA(不死鳥はやぶさ)』という呼称が広まり始め、その注目の度合いは益々大きくなってゆくこととなります。




後で判ったことですが、あの絶望的な状況のなかで、なぜか本来働くはずのない電源保護回路がONになり、バッテリの機能破壊と電力の損失を最小限に抑えていたのです。

これには多くの関係者が首を傾げました。

原因の合理的説明がつかない怪事だったからです。

そしてトラブルが多発しはじめるこの頃から、はやぶさはまるで魂が宿っているかのように振舞い始めます。

耐用期間を2.5年も超過し、全てのエンジン・推進系を全損。

人間で言えば、もう指先ひとつ動かすこともできぬ満身創痍。

それでも尚、走り続ける。

ただ、地球へ――。




心を持たない機械の肉体。

でも彼には立派な魂が宿っていて、そこには熱い血潮が滾っているのでしょう。

「おかえりなさい」と、皆で出迎えようじゃありませんか。

「よくがんばった」と、褒めてあげようじゃありませんか。

彼の最後の魂の滾りを、最後まで見守ろうではありませんか!




役目を終えた不死鳥は、炎の中でその生涯を終え、幼鳥となって再誕します。

不死鳥はやぶさは、その死の中からどのように生まれ変わるでしょうか。

何を残し、何を齎すのでしょう。

僕もその最期の瞬間を、しっかり見届けようと思います。