駿河台大学行政書士講座酒井クラス

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駿河台大学キャリアゼミの2009年度行政書士講座酒井クラスのブログです。講義内容の確認や質問への回答、お知らせ等を適宜アップします。

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願書貰って来たので、希望者には明日配布しますね。宿題も同時配布予定♪
乞うご期待♪
皆さん、宿題やりましたか?
逆に僕の方が講義録を更新しないままなのでお叱りを受けそうですが、まあとにかく、今日から5日間ガムバリましょう!!

本日は物権各論の担保物件を中心にやりました。

中でも一番のポイントは抵当権ですな。


まあとにかく担保物権全般についての確認から。


とりあえず、担保物権はわが民法上4種類あるということ、うち2つの留置権と先取特権は法律上の要件が調うと自動的に発生する「法定担保物権」であり、残り2つ、質権と抵当権は契約によって発生させることになる「約定担保物権」である、ということから始めました。


うち試験対策として最重要となるのが約定担保物権です。


1.質権

質権のポイントは3点。


(1)約定担保物権であり、質権設定契約が要物契約であること


そう、質権はいわゆる「質入れ」をすることによって発生する約定担保物権ですが、この質入れという契約は要物契約なんですね。だから電話で家宝の壺を質入れする約束をしてお金を振り込んでもらったような場合、債権者はその壺に対して質権を主張することができるかというと、それはできないことになるんですね。まだ目的物の占有を取得していないからです。

その意味では本当に現物を渡すなどの行為がなければ契約自体がまだ成立していない、つまり質権が発生していないことになるのです。


(2)占有改定では質権設定はできないこと


先ほどの続きになりますが、質権を設定するには目的物の占有を移さなければなりません。

この占有権の移転ですが、民法の占有権制度上、占有権の譲渡方法は4種類ありました。①現実の引渡し、②簡易の引渡し、③占有改定、④指図による移転、です。

で、質権の設定には③占有改定ではダメなんです。これ覚えておきましょう。


(3)流質契約は民法上は禁止されていること


普通、世の中の質屋さんは金融業者でありつつも、どちらかといえば「目利き」で商売しているところがあるような気がしませんか。

そう、使わなくなったアクセサリーやブランド物のバッグなどを買い受け、もっと高い値段で売り飛ばすといった感じの商売ですな。だから偽物なんかを買い受けた場合には大損してしまうというので、ブランド物についての目利きが勝負になるみたいな。

その意味では質屋さんって、お金を貸すにあたって担保をとり、弁済できなければその担保を取りあげちゃうという仕事のように思っている人はたくさんいると思います。

でも、民法はそんな風に「質物を取り上げてしまう」ということを禁じています。売り飛ばしてもいいですけどそのお金を全部懐に入れることは許されないんですよね。

これ、結構びっくりですよね。

まあ、びっくりしない人もいるでしょうけれど、とりあえず試験対策としては「流質契約の禁止」は覚えておいて下さい。


2.抵当権

抵当権のポイントは4つ。


(1)諾成契約で登記が対抗要件であること


まあこのまんまです。


(2)附従性を有するものの緩和されていること


被担保債権が発生しなければ抵当権も発生せず、被担保債権が消滅すれば抵当権も消滅するという性質を附従性というわけですが、これが様々な理由により緩和されているということを覚えておきましょう。

つまり、根抵当制度にまで発展したように、債権発生前であっても抵当権だけ先に設定させたり、債権が消滅しても抵当権を存続させたりすることが多少認められるようになっているということです。

試験対策としては極論選択肢に×をつけられるようにしておけばいいと思いますけどね。

たとえばこんな感じ。


・金銭消費貸借契約において実際に金員が交付される前に、当該債務を被担保債権として抵当権を設定しても、附従性の原則に従い当該抵当権は無効なものとして扱われる。


とかね。×にしてください。


(3)抵当権の効力が従物にも及びうること


銀行は質屋さんと同じように、担保に供された物を値踏みして、いくらで売れそうかを考えた上で貸してもいい金額を算定するものですよね。当然、抵当権設定当時に付加されていた従物を見た上で「1億で売れる」と考えた不動産については、いざ抵当権を実行するにあたってもその従物ごと競売にかけていいはずです。

・従物とはいえ、主物とは異なる物である以上抵当権の効力は及ばない

なんていう選択肢を見たら×をつけてくださいませ。


(4)抵当権実行により法定地上権が成立する場合があること


まあこれは388条をきちんと覚えておいてほしいということに尽きますね。

要件を3つ覚えておきましょう。

①土地と建物が同一所有者に帰属していること

②どちらか一方、あるいは両方に抵当権が設定されること

③抵当権実行の結果土地と建物が別々の所有者に帰属することとなること


以上です。

これらを踏まえて過去問その他をしっかり解いてみてくださいませ。

というわけで、木曜日の講義の確認はここまで。


行政書士 酒井祐司