俺の名前は俊。これから語る話は俺がまだ歌舞伎町で働いていた時の話。



仕事の都合で終電を逃した為、始発まで時間を潰そうと思っていた。



そんなとき、サンジさんが声を掛けてきた。始発まで時間があるなら飲みにでもいくかというお誘いだった。



帰られなくなった時に、サンジさんから飯や飲みを誘っていただくことはしばしばあった。



一緒に行けばお金は出して貰えるだろうし、時間も潰せる。俺はこの話に乗ずることにした。



二人で焼肉屋に入り、下らない話をしながら酒を飲んだ。サンジさんは俺の地元での話を楽しそう聞く。この人は基本的に仕事の話をしないのだ。



まあ、酒飲んで仕事の話をしてくるような人なら今日も付き合わなかったわけだが。



携帯が鳴る。サンジさんの携帯だ。



相手はサンジさんの後輩で俺の先輩のSさんだ。内容を察するに、これから合流するらしい。



そしてSさんが到着。三人で乾杯し、軽く飲んだ後カラオケに行くことになった。



この時、お二人はすでに強かに酔われていた。



カラオケ店に到着し、そこでまた乾杯し、お二人はそこで泥酔した。



泥酔してはいるがお二人ともご機嫌だった。ご機嫌モードが暫く続いたが、案の定Sさんが潰れた。



これはもうお開きだと思い、カラオケ店を出ようとサンジさんに持ち掛けるが、彼も泥酔で話にならなかった。



Sさんを担ぎ、カラオケ店の出入口の前にあるソファーに横たわらせた。



外は明るくなってる上に雨が降っていた。Sさんはタクシーを呼んだ方がいいと思い、カウンターでタクシーを呼ぶ手続きと会計をしていた。



そういえばサンジさんはどこへ行ったかと周りを見渡すと、外に出て雨の中、空を見上げ突っ立っていた。



わけわからんのでとりあえず放っておこう。



タクシーが到着したので、Sさんをタクシーに押し込んで帰らせた。



次はこいつか…。



カラオケ店を出て、サンジさんに水を飲ませようと水を買いにコンビニに入った。



人の多い朝の歌舞伎町のコンビニのレジに並んでいると、バンッと凄い音がした。



音がする方向を見るとサンジさんが傘立てからビニール傘を取ろうとして、ビニール傘が引っ掛かり傘立てを倒していた。



水を購入し、サンジさんが倒した傘立てを直して外に出るとサンジさんが歩いていた。



先程の衝撃でビニール傘のビニールは全て剥がれ、骨だけになった傘をさしながら、サンジさんは歌舞伎町の街に消えていった。










この件以降俺は終電を逃すことはなくなった。