8月の半ばでパン工房の仕事をやめてしまった

 

少々歯切れが悪いタイミングだったけれど

いつまでいてもキリがなく

 

掘っても掘っても崩れ落ちてくる砂のように

パンはとめどなく窯から出てきて処理が追い付かなかった

 

泥のように疲れた体を横たえるとすぐ朝が来た

おなじ一日がまた始まった

 

仕事を辞めたら

何をするかと迷うほどの時間にあふれている、

はずだったが…

 

のほほんとしてたところに寝耳に水!

入居5か月で退去命令が出た。

 

原因は無断でペットを飼っている!という通報。

大家の娘で少々目をつぶってもらって入居したのだが

 

窓辺にいる猫に同じアパートの人から苦情がきた。

 

結局、別の棟の居室に引っ越しして

その棟ごとペット可物件に変更できるよう

不動産会社が働きかけてくれている

 

「また引っ越し!?」

でも驚かなかった

 

人生「え?」ということの連続。

 

よく「ピンチはチャンス!」といわれるが

またどんな楽しいことが起こるのかな?

 

引っ越しでどんな可能性が生じるのだろうか?

 

まさしくチャンス!

 

ネコが傷つけた

ふわふわしたビニルクロスの真っ白い壁を

麻の漆喰で塗ってみよう!

 

かねてより試したかったことが実践できる!

 

などと誰かのアクシデントを楽しむ

第三者のような自分がいた

 

そして、部屋でぼうっと

「漆喰の壁で囲まれた空間はどんな心地になるだろう?」

素材が人体に作用する効果を想像してみた。

 

湿度、熱感覚、素材のバイブレーション

肌は脳よりはるかにたくさんの情報をキャッチする

 

そして脳の意識に上る感覚は非常に弱く薄い

 

だけど毎日の感覚の積み重ねは人生に大きく影響するもの

 

そのようにふと思った。

 

そういえばぼろぼろの築45年の一戸建ての時

土壁で古い木造の家だったけれど

意識が明瞭で冴えていた

 

快適だがつるつるピカピカのビニール素材の家では

人の意識は知らず知らずに環境の影響を受け日々薄らいでいく

 

まだまだ、小さいけれど私にはやれることはたくさんあるかもしれない!

 

引っ越しを機に自分の意識の転換が起こった

 

人生は実験そのもの

 

それならばアクシデントを楽しく人生の実験の場として活かそう

 

そう、今が意識を変容させるチャンスなのだと思った。