毎日、排水溝に水が吸い込まれていくように

ごく自然に、ごく当たり前に

私に体がパン工房に吸い込まれていく

 

決して楽しいばかりでなく

決して全身に喜びがほとばしるわけでなく

決して楽ではない仕事

そして自分にピッタリの仕事ではないことを

自分で知っている

 

でも「今はこれ」

 

とどこかで自分が言っている

 

何を今は学んでいるのだろう?

でも、今まで苦手だったことを学んでいて

だんだん心が精緻になっていくに違いないと思っている

 

隣で働くあの人が眩しく

きっとこの人のそばにいたいに違いないと知っている

 

そう遠くない先に私はこの場を去るだろう

 

今こうして同じ場所の空気を吸い

同じ目的に向かって進んでいるこのチームの一員でいることが

何かの拍子にその意味すら明白になっていくだろう

 

もっと、スマートな生き方があっただろうと

若いお客さんの幸せそうな姿や

中高年のカップルがきて優雅にコーヒーをすすっている姿を見て

そう思う。

 

4年まえまでは、あちら側の人間だった

今は私の視界に入らなかった世界に自分はいる

 

世の中の人にたくさん、たくさんお世話になって

その幸せを享受してきたことにすら気が付かなかった自分がいたと

 

今になってわかる

 

不器用だけれど

どんな場所でも生きられるって自信がついてきた

 

自分の心にうそをついてカッコつける生き方を選ばない

 

そんな不器用に生きる勇気があるからこそ

 

実は安心して生きられているのかもしれない。

 

自分を信じ続ければ

きっと本心と一致して生きる道に行きあたるだろう

 

それ迄勇気をもって歩こう