季節はいつの間にか梅雨に入っていた

うっとおしい湿気が窓から流れてくる

 

ここはある大学の元研究室。

私はここで大学のあるプロジェクトの立ち上げ事務補佐として採用され

パソコン作業に追われている。

 

2ヶ月前、ある料理店で働いていた頃

お客もなく、いい天気だったので表を掃き掃除していると

一人の女性が通りがかった

 

彼女は通り過ぎてすぐに振り返り

「あれ?〇〇さん?」と声をかけてきた

彼女は大学の時の一年後輩で現在大学の教官になっていた

 

久しぶりの再会に嬉しく懐かしかった。

彼女はおもむろに大学の事務の話を持ち出した

私は反射的に「良いよ、行くわ!」と答えていた

 

その時は、その料理店が5月で閉店するとは知らずに…

 

大学勤務は6月初旬からだった。

気がつけば、スライドするように仕事が代わっていた

 

山のように来る情報をさばき

何本もの系統の事務を同時進行にこなす…

 

そのような作業ができる自分に驚いた

そして、3年のうちに6つの仕事に携わってきたことが

能力を高め、心を整え、立場を弁えさせ、度胸をつけさせた。

 

目から火花が散るような仕事を終え

へとへとになりひとり車に乗り込む

 

すると自然に涙が込み上げてくる

「うちに帰ってもひとりだ。」

3年間、毎日が試され、しごかれている気がする。

何度、神に祈ったことか。

「どうか、一緒に御飯を食べる人を与えてください」

でも、まだ現れない。

 

時々、負けたくなる時がある

 

「もうだめです!負けです!勘弁してください!」

ひねくれて、泣いて、そのムードに浸っていたくなる。

 

そして結局、

「神様、私の負けです。私は負けていられません。」

 

と、いつもつぶやくことになる。

 

明るく輝く太陽でいたいのだ。

 

本来のわたしの姿を自分は知っているから

 

なんだか切ないけれど。