強く賢く思いやりあふれる完璧優等生猫シャムの
唯一の弱点が食い気である。
トラ猫トラニャも食いしん坊だが、シャムはそれ以上だ。
お腹がすいたときは必死で催促する。
用意している間も、待ちきれずに声が漏れる。
そんな食いしん坊シャムだが、食べ方はしごく鷹揚だ。
きれいになめ尽くすようなことはしない。
お皿に盛られた猫缶肉を食べ散らかすと、
まだいっぱい残っているのに、わたしの顔を見る。
--うむ悪くないぞよ。
代わりを持て。
なんだかお殿様モードである。
そんなもったいないことはできないので、
食べ散らかされた肉を竹の平たい匙で
かき集めて盛り上げてもういちど出すと
また食べ始める。
そして食べ散らかすと、またわたしの顔を見る。
--食べにくいぞよ。
何とかせよ。
わたしは、もういちど肉を集めた後、
お皿をシャムの顔に近づける。
そうするとおもむろにまた少し食べ、
ほんの少し残して悠然と水を飲みに行く。
--余は満足じゃ。
残りはトラ猫に下げ渡すがよい。
--フニャっ
と、トラニャがドドドっと走ってきて
おこぼれにあずかるのである。