黒猫クロの生涯を短く言い表すなら、「追い求めた猫」になるだろう。
彼は、大好きで尊敬するシャムを追い続けた。
それはついに超えられぬ高い壁であったが、
その過程でクロは多くのことを学び、
晩年に至って劇的な成長を遂げた。
シャム猫シャムは「大いなる者」とでも言うべきか。
誰よりも強く、誰よりも賢く、誰よりも優しかった。
その力を自らのために振るうことなく、
深い思いやりをもって、他の猫たちのために尽くした。
トラ猫トラニャは「ダイスキの猫」だった。
頭は悪く、運動神経は鈍く、
恩知らずでワガママだったが、
ただひたすら飼い主のことが好きだった。
あふれ流れるダイスキの気持ちで、
もっとも飼い主を幸せにした。
そのあまりにも強い気持ちは、
彼自身には災いともなり、
命を縮めることになってしまったかもしれない。
そのことについても書いておかなければならない。
悲しすぎて書けなかったことを。


