いきなり猫三匹と暮らす -109ページ目

いきなり猫三匹と暮らす

突如襲来した怪生物と犬好きのハートフルコメディ

トラ猫トラニャは、最低身分猫だった。
うちにいた3匹の中で
いちばん若く、いちばん弱く、いちばんおバカな彼は
飼い主に甘える序列でもいちばん下だった。

 

ベッドで甘えることなど許されるはずもない。

 

だが、時は過ぎ先輩2匹は世を去った。
トラニャは、オンリーワン猫として
好きほうだいできるようになったはずだった。

 

でもトラニャは、ベッドでいちばん良い場所に来ない。
飼い主の腕に抱えられて密着できる
ベストポジションに来ない。

 

そこはかつてのボス猫、
誰よりも美しく誰よりも強く誰よりも賢く
そして誰よりも優しかった、シャムの場所だった。

 

 

その場所は永遠にシャムのもの、なんて
猫が思うんだろうか?

 

分からない。
でも、トラニャはいちばん良い場所とは知りながら来ない。

トラニャは、シャムの居場所を避けて、
わたしの肩口に身を寄せる。

 

トラニャがその場所を避けることが
死んだシャムのことを思い出させるのが
さいしょは少し辛かった。

 

時が経ち、
トラニャが肩口に陣取ることで
シャムを意識することが、
まだほろ苦く寂しいけれど、
うっすらとシャムの存在を感じられる気がして
少し心あたたまる思いがするようになった。