突然降って湧いた謎の人物。パンテラ・ロサ。彼女を見て思い当たる話がある。

あるエキスパートがピークを迎え、肉体的或いはスピリット的に、そのパフォーマンス維持が困難な時期に至る。その時、知られているスタイルとは反するパフォーマンスを別人として演ずる事により、エキスパートとしての寿命を伸ばす。

 少し違うが「マン・オンザ・ムーン」確かそんなタイトルだったと思う。
ジム・キャリーの映画があった。

コメディアンとして成功し過ぎ、同じパフォーマンスばかり要求する客や番組に嫌気がさし、番組をドタキャンして知人を代役として出演させる。彼とは似ても似つかない代役の見た目やパフォーマンスはブーイングを喰らうも、インパクトは強かった。実はその知人とは嘘で変装し芸を変えた彼本人だった。やがて同一人物ではないかとの噂を否定するために彼は同時に舞台に立つサプライズを成功させ、架空のコメディアンを実在する人物と認めさせてしまう。最高のコメディが成功したわけだ。

だがいつしか、スターの彼を難病が襲う。薬もヨガも胡散臭い超能力にさえも頼るが、甲斐はなく彼の余命はとうとうつきる。哀しみのエンディング。

ところがしかし!彼の死後も、もう1人のあのコメディアンは舞台に立っていた!舞台以外では袋を被り、決して素顔を見せないままに。

そんな映画。

ロサ。彼女には、そのもう一人のような、誰かの翳を感じてしまう。ごく個人的な其れ。