けいおん
息子が小6のとき観たい映画があるから一人でも行きたい!と言ったのが~けいおん~だった。普段はあまり自分から動かないのに。珍しくそんなことを言うものだからそんなに好きならいいよといったらとても喜んでいた。当時はまだ伊良部大橋は建設中だった。宮古島の離島に住んでいるから公開されたばかりの映画を観るためには飛行機で沖縄本島に行かなければならなかった。母子家庭でギリギリの生活だったけど息子はあまりわがままを言うこともなくそれなりに我慢もさせてしまっていたので思いきって一緒に楽しむことにした。けいおんのりっちゃんのために今までの自分を突き抜けようとするけなげな男を応援しようと思った。私たち親子の善き理解者でもある妹ちかぴーと三人でまわりには黙ってこっそりと日帰りのけいおん映画の旅へ。週末朝イチの飛行機に乗り船の最終便に間に合うように入念な計画を立てた。当日某ショッピングモール内の映画館に向かった。息子は少し緊張しつつも顔を輝かせながら初めて自分でチケットを購入し一人で映画館に入っていった。どうしても一人で観たいと言った丸い背中を見送りながら私と妹は買い物を楽しみつつ息子を待った。観終わった息子は行く前よりも更にキラキラして戻ってきた。けいおんの感動と私たちへのお礼を素直に言葉にして伝えてくれた。息子にとってあの時の単独行動は大きな出来事だったろう。あの日を境にすごく変わった。好きなもののために行動することを覚えそれの原動力となる好奇心や小さな勇気を日々の生活のなかで自分で選び感じ取り獲得していった。そしてその都度自分の心の動きを言葉にしてまわりに伝えてくれた。そしてまたオタクの部屋らしく健やかに確実にけいおんのグッズが増えていったのだった。けいおんから始まってそれと同じくらいの熱量の好きなものを大切にしながら少年は自分の居場所を作り出す力をいつの間にか身につけていた。その始まりがけいおんだった。いろいろ抱えてこじらせ気味のあのときの息子に出会ってくれてありがとう。勇気や生き抜く力を与えてくれてありがとう。離島の片隅の子どもたちにも愛を届けてくれてありがとう。大学生になった彼はお別れと感謝を伝えるためにまたけいおんに会いにいっています。京アニのみなさん有り難うございました。お疲れ様でした。心からご冥福をお祈りします。そして今なお入院されている方のご回復と会社の復興を心からお祈りします。