2008本屋大賞が伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』に決定! といってもレベルの高い今年のノミネート作は全部がお勧めです。以下、全作品紹介。
1位
新潮社
伊坂 幸太郎(著)
発売日:2007-11-29
おすすめ度:

大統領暗殺の犯人に仕立て上げられた主人公の逃亡劇。ハリウッド映画のような派手な展開にページを捲る手ももどかしく、緻密に張り巡らされた伏線が次々と繋がる怒涛の終盤へと流れ込み、感動のラストが待っている。伊坂幸太郎の集大成として、彼の魅力が隙間無く詰め込まれた傑作!
2位
新潮社
近藤 史恵(著)
発売日:2007-08
おすすめ度:

ロードレースというあまり馴染みのない競技を舞台とした青春スポーツミステリー。ただ青春といっても、爽やかさは無い。勝負の世界の厳しさと、そこで戦う人間の生き様が描かれる。簡潔な文章でとても読みやすく、しかも心の深くにまで入り込んでくる物語だ。読みやすさと、衝撃度は一番!
3位
幻冬舎
森見 登美彦(著)
発売日:2007-09-25
おすすめ度:

狸と天狗が京都を舞台に縦横無尽に駆け巡る、エンターテイメント小説。バカバカしくも愛すべき登場人物たちが、どこを読んでもドタバタ劇を繰り広げていて、飽きることなく楽しめる。今回の10作のなかで、どれが面白いかと聞かれれば、迷うことなくこの本です。面白きことは良きことなり!
4位
朝日新聞社
吉田 修一(著)
発売日:2007-04-06
おすすめ度:

悪人とは誰なのか。犯罪の加害者、被害者、その家族や周りの人間たちを描いた群像劇であり、逃亡劇であり、純愛小説でもある。些細なきっかけが積み重なって起きる事件。登場人物たちの生きてきた人生を丁寧に描きくことによって、その翻弄される姿が読者の心を揺さぶってくる。読み応えのある小説をお探しのかたはこれ!
5位
集英社
金城 一紀(著)
発売日:2007-07
おすすめ度:

映画をモチーフとした連作短編集。映画が好きな人はぜひ読んで欲しいし、これを読めば映画が観たくなる。今回は重いテーマの作品が多いなかで、この爽やかさは貴重な存在。小説を読むことが素直に楽しいと思える快作!
6位
中央公論新社
角田 光代(著)
発売日:2007-03
おすすめ度:

不倫相手の家から乳児を攫った女性の逃亡劇と、その子供が成長してからの物語。母と子の絆。家族とは何か。表面的な善と悪では捉えきれない、人と人との繋がりから生みだされる深い想いに満ちている。読み終えてから、このタイトルを見ると、目頭が熱くなる。ラストシーンが見事です!
7位
東京創元社
桜庭 一樹(著)
発売日:2006-12-28
おすすめ度:

昭和初期から平成にかけて、時代とともに生きる女三代記。目まぐるしく、時代が変わり、景色が変わり、社会が変わり、人が変わる。そんな時代の流れのなかで、静かに見つめ、激しく生き、苦悩する人たちの姿がある。戦後の混乱期から高度経済成長の時代を駆け抜けてきた激しい物語が、バブルの崩壊を気に、突然宙に放り出される第3章が好きです。
8位
幻冬舎
万城目 学(著)
発売日:2007-04
おすすめ度:

奈良の女子高に臨時教師としてやってきた主人公は鹿に日本を救う役に選ばれるという学園伝奇ファンタジー小説。ドラマ化されたけど、原作は恋愛のないシンプルなストーリーとなっている。夏目漱石『坊ちゃん』を下敷きにしているところなども読みどころだが、剣道の試合のシーンも最高!
9位
文藝春秋
桜庭 一樹(著)
発売日:2007-10-30
おすすめ度:

近親相姦というタブーを正面から描いた小説。義父と娘の間に流れる濃密な世界が生まれた理由が、章ごとに過去に遡るという構成によって、少しづつその核心に近づいていく。身を削りながら書いたというのも頷ける鬼気迫る内容だ。近親相姦に対する嫌悪感などあって賛否が分かれているが、この小説の持つ圧倒的な世界に打ちのめされることは間違いない。
10位
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講談社
重松 清(著)
発売日:2007-05-31
おすすめ度: 
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講談社
重松 清(著)
発売日:2007-05-31
おすすめ度: 
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Amazy
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ガンで死を宣告された父親と家族とその幼なじみたちの物語。こちらも「泣ける人」と「泣けなかった人」で評価が分かれる作品。といっても、小説にとって「泣く」とは二次的なもので、ここで描かれている大きなテーマは「許し」だ。故意にしろ偶然にしろ必然にしろ、人は生きていると人を傷つけることになる。過去に戻ることなどできない。未来すら失ってしまう。そんな現在を生きる人たちにとって「許すこと」「許されること」の意味とは。この本の中には人間の持つ大切なものがたくさん描かれている。
全作品を読み終えてみると、、どれが面白くてどれがつまらないということではなく、それぞれに描かれた作品が繋がった物語ができあがる。今回は「家族」というものについて考えさせられるものが多かった。そういえば、古川日出男が「全ての小説は家族小説だ」というような事を書いていた。家族の中だからこそ生み出されるもの、家族という枠組みを破壊することによって見えてくるもの。人が生きるということは、家族を生きるのだと、あらためて思う。