小惑星 「2015 BN509」 が
  地球とニアミス、再接近して
  ガチ衝突へ!?
  NASAにはデータも対策も不足、
  超ヤバい事態!



 2017-03-07 22:30
株式会社サイゾー


© TOCANA 提供


 地球へ巨大隕石や小惑星が地球に衝突する――。 これは、SF映画や小説の中だけの話ではなく、現実に地球が直面している危機のひとつで、リアルティな映画 『アルマゲドン』 と同じ危機であることに間違いないのだ。

 NASAの発表によると、 「2015 BN509」 と呼ばれる小惑星が先月も地球のすぐ近くを通り過ぎたが、その軌道を考慮すると、地球に再接近するだけでは済まず、衝突する可能性も高いとのことである。 イギリスの 「Express」 紙が、この脅威についてレポートしている。


■巨大ビルディング規模の小惑星が地球とニアミス
 「2015 BN509」 は太陽系を周回する小惑星で、そのサイズは少なくとも幅200メートル、長さ400メートルを超えている。 これはアメリカの巨大ビルの象徴でもあるエンパイア・ステート・ビルディングさえ上回る大きさである。

 あまりニュースには取り上げられていないが、この小惑星は先月、地球に極めて接近している。 なんと、地球から330万マイル (530万キロ) の距離を時速4万4千マイル (70万キロ) の速度で通り過ぎて行ったというのだ。
 これは、宇宙規模の距離感覚では “ほぼ衝突” といえるほどのニアミスだ。

 もし、このサイズの小惑星が地球に衝突したとすれば、場所にもよるが、いくつかの国や地域を完全に消滅させるレベルの衝撃があり、さらに地球の生態系を破壊する可能性もある。
 アレシボ天文台の電波望遠鏡によって撮影された 「2015 BN509」 の動画を見ると、それほどの脅威が感じられないかもしれない。 しかし実際には、そのサイズとスピードは我々を完全に破滅させるほどのエネルギーを秘めているのだ。


【「2015 BN509」の画像はコチラ→http://tocana.jp/2017/03/post_12533.html


 この小惑星が私たちにとっての脅威であるもうひとつの理由が、“小ささに起因する軌道の不安定さ” にある。 大きいといったり小さいといったり、なんとも不思議な感覚だが、詳しく説明させてほしい。
 つまり、惑星と小惑星の衝突という観点から 「2015 BN509」 を見れば “驚異的なサイズ” であるが、太陽系を回っている軌道という観点から見れば、この小惑星は “あまりにも小さく”、それゆえに他の惑星や小惑星などの重力 (引力) に影響されやすく、“軌道が微妙にズレる” ことが起きやすいという意味である。

 あくまでも今回の軌道では、地球とのニアミスで済んだが、次回の最接近では、衝突が起こらないとは言い切れないのだ。 しかも、こういった小惑星の衝突を回避する現実的な手段を私たちは、まだ手に入れていない。
 宇宙船と小惑星自体が持つ引力を利用して軌道をずらすというアイデアはあるらしいが、どれほど現実的なもので効果があるかは全く不明であるとのこと。


■衝突の可能性がある小惑星の80%は予測不可能
 NASAでは 「Scout」 と呼ばれる小惑星の早期衝突警告システムを導入し、小惑星を新たに発見した場合、その大きさや軌道を10分程度で判断できるとしている。 しかし、安心することはできない。

 このScoutを運営しているジェット推進研究所 (JPL) のポール・コーダス氏によれば、望遠鏡で最初に発見された動く物体は、ただの 「点」 でしかないとのことである。
 それがどのように動き、どれくらい離れていて、どれくらいの大きさであるかを判断するには観察が不可欠であり、より多くの観察結果こそが正しい小惑星の状況を導き出す唯一の方法だと語っている。 ただし、本当の危険に直面したケースを想定した場合には、「その観察の時間さえもないというのが現状である」 とも発言している。

 現在NASAは、地球に衝突する可能性がある小惑星のリストを作成しているが、「2015 BN509」 と同サイズの小惑星のうち実に80%が現在地と軌道を確定できずにいるという。
 ある朝突然、異常接近した小惑星が発見されて、命知らずのヒーローが単独宇宙船に乗り込んで破壊してくれる―― そんな映画のような物語も、絶対にあり得ないフィクションとは言い切れない時代になってきたのかもしれない。


  (文=高夏五道)
  ※イメージ画像 : 「Thinkstock」 より