宇宙&科学



  今週の宇宙画像:
  銀河の横顔、潔癖症の銀河ほか



  2016.02.03

銀河の横顔

PHOTOGRAPH BY ESA/HUBBLE AND NASA

 10億光年先にある渦巻銀河LO95 0313-192。 ハッブル宇宙望遠鏡が真横から撮影した。 構造は天の川銀河と似ているが、意外なことに中心からは強力な電波ジェットが噴き出している。
(参考記事:「ハッブル望遠鏡 50の傑作画像」


潔癖症の銀河

PHOTOGRAPH BY ESO

 たいていの銀河にはちりがたくさん含まれている。 また、星や星間ガスの渦のなかに不透明な暗いすすの帯を持つものもある。 だが、チリにあるヨーロッパ南天文台 (ESO) の超大型望遠鏡 (VLT) がこのたび撮影した銀河IC1613はまぎれもなく “潔癖症” だ。 ちりがほとんど存在しないため、宇宙研究にとって大変重要な存在となっている。
 IC1613はくじら座にある矮小銀河で、VLTの写真にはたくさんの星とピンクのガスが集まる姿が記録された。 我々の銀河系を含む50ほどの銀河が寄り集まった 「ローカルグループ」 に属しており、地球から230万光年のところにある。
 星が円盤状に集まっていないなど、いくつかの例外的な特徴をもつ 「不規則銀河」 だが、なかでも極めつけはやはりちりがほとんど存在しない点。 その美しい姿をはっきり拝めるだけでなく、230万光年という距離が正確にわかったのも、ちりがないおかげだった。
(参考記事:「大量の星を生む矮小不規則銀河」


風の衝突

PHOTOGRAPH BY NASA/JPL/UNIVERSITY OF ARIZONA

 NASAの探査機 「マーズ・リコネッサンス・オービター」 が、火星の謎のくぼ地 「オルクス・パテラ」 の西に砂丘群を発見した。 その形状から、2方向からの風が収束しているように見える。 似たような形状は9年間のミッションで5回撮影された。
(参考記事:「キュリオシティ、火星の「動く砂丘」をパノラマ撮影」


雪化粧

PHOTOGRAPH BY JOSHUA STEVENS, USGS/NASA EARTH OBSERVATORY

 2016年1月24日に地球観測衛星ランドサット8号が撮影した雪化粧の米国バージニア州、メリーランド州、ワシントンD.C.一帯。 1月22日から24日にかけてノーイースター (北東風を巻き込んで発達する冬の嵐) が猛威を振るい、同エリアに46から61cmの雪を降らせた。
(参考記事:「地球観測衛星ランドサット40周年」


土星の半月

PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH/SPACE SCIENCE INSTITUTE

 暗闇に半月状に浮かび上がった土星の衛星エンケラドス。 NASAの土星探査機カッシーニが撮影した。 クレーターが少なくしわの多いその地形は、最近の地質学的活動があったことを示唆している。 それはおそらく、氷の外殻の下に広がる内部海によって引き起こされたもの。
(参考記事:「土星の衛星エンケラドス、氷の下に全球を覆う海」


緑の渦

PHOTOGRAPH BY NORMAN KURING, SUOMI NPP/NASA EARTH OBSERVATORY

 アラビア海では毎冬、モンスーンが作る流れにより表層水のミネラル成分濃度が高まる。 それが植物プランクトンの栄養となり、写真のようなサイケデリックな渦が観測される。 NASAの地球観測衛星 「スオミNPP」 が撮影。
(参考記事:「アラビアの海を慈しむ」


沈みがち

PHOTOGRAPH BY NASA/JPL/UNIVERSITY OF ARIZONA

 陰影から、火星にあるエリシウム火山の南東およそ130kmに陥没火口があることがわかった。 このようなシンクホール (ドリーネ) は、火山地形の地下洞窟につながっているのかもしれない。
(参考記事:「火星の“天窓”から三日月形の影」


太古の水の迷宮

PHOTOGRAPH BY NASA/JPL/UNIVERSITY OF ARIZONA

 火星のマリネリス峡谷の西部にある谷 「ノクティス・ラビリントゥス(夜の迷宮)」 のこのくぼんだ低地には、酸性の水の痕跡とマグマの通り道の存在を示唆する堆積物が含まれており、古代の気候をつかむ手がかりになっている。
(参考記事:「火星、“夜の迷宮”の含水鉱物」


白い猛威

PHOTOGRAPH BY BY JEFF SCHMALTZ, LANCE/EOSDIS RAPID RESPONSE/NASA EARTH OBSERVATORY

 2016年1月22日から24日にかけて米国東部に大雪を降らせた暴風雪を、NASAの人工衛星アクアが撮影した。 この雪で37名以上が死亡、沿岸での洪水や、停電が発生したほか、1万3000便のフライトが欠航となった。
(参考記事:「空から地球を診断する」


  文=Michael Greshko/訳=堀込泰三