FootMark

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創作小説。

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 気付けば古びた洋館のような場所に居た。辺りを見渡しても薄暗くてよく見えない。

居た、と言ったのはぎしぎし鳴る廊下に何個か扉があるからだ。海外のホラー映画でよくありそうな光景だ。

一つだけ少し扉が開いているのか、光が廊下へ逃げている。それもぼんやりとしたものでとても明るそうな感じではない。

其方へ向かい、隙間から部屋の中を覗くと小さな机の上で蝋燭の火が揺れている。近くに人が居るようできーきーと音が聞こえる。ロッキングチェアに座っているみたいだ。

息を殺すように両手で口を塞ぎ、静かにしていたつもりだがすぐに気付かれた。室内の人物が声を発した。

男性のようにも聞こえるし、女性のようにも捉えれる。極端に高い訳でもないが低い訳でもない、そんな声に聞こえた。

 

「こんな所へ迷い込んでしまったのかい?珍しいね……怖くないから入っておいで」

 

やんわりとした口調が扉に向かって話し掛けられる。