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「人生のキセキ」第2回

 

-部屋はずっと、そこにあったー

 

あの頃の私は、 人と話すとき、とても楽しそうに笑顔で話していた。

 

でも、自分のことが大嫌いだった。

 

 

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7年勤めた会社を辞めて、 全く違う仕事に飛び込んだ。

 

それまでの仕事は、 ファイル整理やコピー、庶務的なことが中心だった。

 

50歳手前で自分を試してみいと思った。

 

 

 

新しい職場は、産婦人科の受付。

覚えることが、山ほどあった。

 

カルテの入力、薬の準備、制度の説明。 

お金も扱う。間違いは許されない。

 

丁寧にしていると、業務が回らない。 妊婦さんは、次々にやってくる。

 待合室に人がたまっていく。

 

できない。覚えられない。 

情けなくて、どんどん落ち込んでいった。

 

そしていつの間にか、こう思うようになっていた。

 

「申し訳ない。」

 

誰かに言われたわけじゃない。 でも、自然とそう思っていた。

何があっても、申し訳ないと感じてしまう。 ずっと前から、そうだった。

 

 

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それでも、仕事は1日も休まなかった。

 

産婦人科の受付に座ると、 自然と笑顔になった。

 

目の前には、大きなお腹の女性。 

生まれたばかりの赤ちゃんを抱いた家族。

 

その人たちに向ける笑顔は、 本物だった。

でも、自分の内側は、ぎりぎりだった。

 

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私には家族もいた。子育てもした。 

それなりに、いろんな経験もしてきた。

 今思えば、できていたこともたくさんあった。

 

でも当時の私には、見えていなかった。

 

自分のできていないところしか見えなくて、 悲しくて、苦しかった。

 

うまくいかないことは、全部 私が足りないからだと思った。 

 

できない自分、足りない自分、

こんな情けない自分のことが、大嫌いだった。

 

 

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そんな時、友人が言ってくれた。

 

「逃げてもいいんだよ」

 

その言葉が、じわっと胸に染みた。

 

 

でも、心の中で別の声がした。

 

「辞めるなんて、とんでもない。 逃げ出すなんて、最低だ。」

 

今辞めたら、ほかの人が大変になる。

 

 

そう思うと辞めることができなかった。

 

 

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自分よりも、誰かのことが先だった。 

自分を責めることが、当たり前になっていた。 

ずっと、そうやって生きてきた。

 

それが、私の普通だった。 

だから、気づかなかった。

 

 

私の部屋は、ずっとそこにあったのに。

その時の私には、 まだ見えていなかった。

 

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最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

 

 

ippo "わたし人生"応援人 チャコ

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