南へ遠征や!! 屋久島 宮之浦岳と開聞岳 その3
さて、小降りになったとはいえ、雨は降っている。小屋から直ぐに流れている淀川の橋の上で既に
ズブズブ濡れ。ここからは標高を稼ぐものの、アップダウンや鎖場(厳密にはロープ場ですが)
があり、濡れているために気が抜けない。
「誰かとすれ違うんやろか?宮之浦岳付近やなぁ」と寂しくも寒い道程をトコトコと歩く。
(小花之江河うを経て、花之江河 晴れていたら正面に トウフ岩が見えるのだが、、、、、、)
2時間くらい歩いて着いた、花之江河。なーんも見えん!ここは泥炭の地らしい。泥炭といえば
有名なのがスコッチウイスキーのスコットランドですが、こんな場所にもあるのですな。
(ポツンと置いてある僕のザック。なんだか寂しげ)
観光ガイドの写真のようなピーカンの晴れはやはり難しいのぉ。晴れ待ちなんざ、時間がないし。
黒味岳も登らず、通り過ぎて向かうは 宮之浦岳。投石平を経て 投石岳・安房岳・翁岳を進行方向
右手に、ズンズンと進む。
本来、天気が良ければ見えてくる景色が 森林限界を超え、ゴロゴロした大きな岩の稜線となるの
だが、現実はこんな感じ。
(奥が見えん!)
(ほんまに奥が見えんのである)
全然見えん景色を誰一人すれ違うことなく、着いたのが栗生岳(くりおたけ)
(くりおたけ。岩だらけ。隙間でビバークできそうな感じ)
ここまで来れば、宮之浦岳はもう直ぐ。
で、着いた。宮之浦
(なーんも見えん、宮之浦岳のピーク)
誰も居ない。何も見えない。吹く風と雨で冷たい、、、。滞在時間60秒とは、、、、、、、。
(ガスって、、、、。)
さあ、新高塚の小屋に向かおう。着いたら着替えて飯食って寝よう!と近っかい目標を立てて
下山開始。
屋久島の花崗岩は表面がデコボコしていて、雨で濡れていても靴のソールがちゃんとフリクションを
取ってくれるので少し安心できるものの、1枚スラブの岩が多くてやはり滑るときは滑る。
角度がある1枚岩場は足掛かりがないので、ロープが設置せれているのがありがたい。
しかし、、。そのロープを使って降りていた時、ちょっとしたミスをしてしまったのである。
結束しているロープを使うときは鉄則 その結束部分から垂直に動かねばならんのに、
足場が悪いからといって左右に移動するとロープに体重を掛けてしまった時にロープホ本体が
結束から垂直の位置に戻ろうとするのである。当たり前の自然な摂理であるが、補助ロープに
体重を掛けてしまったのである。右に移動していた時に。己の意思とは逆に中心に戻るロープに
振られていまい、滑って右膝を思いっきり打撲してもた。
この場所での膝打撲はヤバイのである。下山しかない場所での膝故障はほんまにヤバイ。
幸い打ち身の痛さは時間を経て消えていった(あおたんは残ったが)し、下山に支障はなかったのは
不幸中の幸いだった。
焼野三叉路から本当は永田岳によるつもりだったが、タイムオーバー中でこの状況では無理なので、
泣く泣く諦めて先を急ぐ。
第2、1展望台があるものの展望なんざ全く無くて単なる通過ポイント。
もうすぐ、新高塚の小屋や!
(新高塚小屋。ヒメシャラ大木が出迎えてくれる)
着いたのである。本日のお宿に。Nのおじ様も僕の後についてきているのが判る。
小屋には先着がいた。2名。そして僕とおじ様。合計4名。屋久島最大の収容人員を誇り超メジャー
な小屋に4名なのである。
小屋出入口近くの場所の下に陣取ってねぐらを確保。速攻着替えてダウンジャケットを着込む。
近くにある水場にて水を確保し、晩飯の準備。小屋入り口にある屋根つきベンチの上部に細引きで
干し場をつくって雨具やザックカバーを吊るすものの、吹き付ける風雨で乾かしてるのか濡らしてるのか
よく判らん状態で全くもって湿りが取れん!小屋内部に吊るすと、水滴が滴り落ちるので無理やし、、、。
午後5時過ぎ、辺りは真っ暗になっていき、時折姿を見せる鹿さんも寒そう。これまたすることないので
早めの就寝。 ザックのショルダーに着けているポーチ(コンパスや行動食を入れているポーチね)
に昼間に食べたパンの袋を無造作に突っ込んでし閉め忘れていた。そのポーチはちょうど僕の頭上に
位置していた。
何時頃かよく判らんが、ポーチのビニール袋が「カサカサカサ」と鳴った。最初は空気が入って復元しよ
うとする音やろうと気にしなかったが、しばらくしてまた鳴った。
「うわっ、ポルターガイストかっ!!怖っ。」と少々ビビッていたが、どうも様子が違うのである。
シュラフから身体を出すのも面倒やし、もーええわ、と無視してたら今度は小屋の床(木製ね)で
何かが走っているのである。運動会状態で「カリカリ」と。そのうち僕のシュラフの上でも走るようになった
。そこでようやく気付いた。「しもた、ネズミさんや。あかん、閉めな」
ネズミさんはパンの臭いでポーチを目指していた様子だった。
「すまんすまん。食べる物ないねん。ごめんね」と再び爆睡に突入したのである。
(やくしまひめネズミ。とても可愛いらしいが、小屋には出没するため、食料はきっちりザックに入れ、
進入防止をするのがマナーである)
南へ遠征や!! 屋久島 宮之浦岳と開聞岳 その2
11月15日
日曜午後7時 僕は大阪は天王寺 阿部野橋に 場違いの格好にてたたずんでいた。ゴア
のジャケットに皮の登山靴、そして65Lのパンパンに詰まっているザックを背負っているので、繁華街で
は似つかわしくないわな。
7時45分 天王寺発 鹿児島港行きの高速バス「トロピカル号」に乗り込んだ。ガラガラ。途中難波と
梅田に立ち寄ってから高速道にての移動であるが、ほんまに ガラガラ。
最終駅の高速艇乗り場まで12時間のバス旅の始まり 始まりー、で直ぐに爆睡。
このトロピカル号は長距離専用の快適バス仕様で、3列の単独シート。リクライニングは180°とは
いかないものの、身長177cmの僕がとりあえず全身を伸ばした状態で寝れる。ブランケットと枕付き。
トイレ完備でウエルカム?ドリンク付(紙パックのお茶ですが)
1箇所のみ下車可能の休憩がありその後、消灯となります。
16日月曜日
バスは下車の停留所に近づくと、モーニングコールで全員起床です。朝の6時半くらい。
鹿児島空港を最初に何ヶ所か停留して最終駅が 「鹿児島港高速艇のりば」である。
これは便利になった。乗換がとても近くなったのである。
到着は朝の8時過ぎ。ここからはジェットフォイルという高速艇に乗り換え。宮之浦港直行は
9時10分発。搭乗時間は約2時間の船旅となる。ジェットフォイルは船であるけども船ではない、かも。
時速80kmで航行できるジェットエンジン搭載の海の上を滑るように進む船なのである。
定刻通りジェットフォイル「ロケット」は徐々に速度を上げ(キャビン内に速度計があるのです)
少々の波など揺れもせずに進む。で、これまた僕は爆睡開始です。乗客はまばらなので4人ボックス席
に独り、足を伸ばしてzzzzzzz。
船内放送で「もうすぐ着くからね」的なお知らせで目が覚めた。宮之浦港到着11時。乗り物はこれで
終わらないのである。今回の縦走ルートで一番タイムリーな場所が、バスにて紀元杉へ向かい淀川登山
口から登るのが最短時間なので、そのバスに乗らねばならん!12時40分発。1時間半待ち、、、。
むむー。
ぼーっとしててもしゃーない。まずは 観光案内所にて登山届けを提出。まだまだ時間はあるぜ。
次に宮之浦ポートサイトYHにご挨拶。
それでも時間は余る!!!
振り返れば、空はどんより。天気なら見える山々も全くもって見えず、、、。
(どんより天気の宮之浦。僕の気分もブルー)
待ちかねたバスが来た。紀元杉行きのバス、乗車時間2時間、、、、。乗客僕オンリー。
途中何名かが乗っては降り、ヤクスギランド方面に進む頃には僕独り。貸切バス状態。
ワイパーが動き出した、、、、。来たーっ、雨、、、、、。
とりあえず着いたよ、「紀元杉バス停」
(バス停看板のみ。雨が凌げる屋根なんざ、無い!)
停留所に着いたからには、バスから出なあかんわね。外は大雨やわね。凌げる場所なんざ、無いわね。
着く前に準備せんかった僕が甘かった。雨の中、レインの下とザックカバーを付ける羽目になった。
とぼとぼと淀川登山口までアスファルト道を歩く。屋久杉さん達が僕を出迎えてくれる。
(川上さんが尽力したので 川上杉)
30分歩いて着いたのが登山口
(僕の後ろにはトイレがある)
今夜は淀川山小屋にて宿泊。小屋までは40分の道程、、、。
(今夜の宿泊地 淀川小屋)
もう既にズブズブに濡れてしまっている、、、、。着いた小屋には先客が3名。内2名はご夫婦で明日は
下山。もう1人はおじ様でこれから縦走するとの事であった。
広い小屋内部に寝床を作製し、ディナーの準備。雨はだんだん激しくなってくる。明日の天気は
天気図と予報で確認したところ、最悪。
飯も食った、ホットチャイも飲んだ。することがない。寒いし、もう寝るしかない。でも移動で寝すぎて
全く寝れんのである。
小屋に打ちつける雨がバシバシと音をたててるし、、、。トイレ行きたいけど、寒いし濡れるし、
どうしよう?と考えていたらいつの間にか寝ていた。
17日 火曜日
予定では朝5時出発なので4時に起きた。すっごい雨。ソロのおじ様も起きていて、お互いどうるすえ?
と会議を開始。
おじ様はNさん、東京から来た方。縦走したいが、いかんせんこの状況にひるんで「下山しようか」と
多分60%傾いていたはず。
僕は予備日も1日だけであるが確保しており、飯関係も節約すれは5泊分を所持。ついでに山岳テント
も持っている。
「僕、行きますわ。この天気やからヘッ電点けての移動はヤバイんで、夜明け待って出ますわ」と。
再びシュラフに潜り込み、6時に再度起床。撤収して夜明けを待ち、6時半、薄暗く雨降る中、
「ほな、行きますわ」と3名に告げると、Nのおじ様、
「行くの?僕も行くわ」と傾いていただろう撤退案を撤退して前進案へ。
「ほな、途中で合流しましょう、先行ってますわ」
と宮之浦岳へと向かったのである。
南へ遠征や!!屋久島 宮之浦岳と開聞岳その1
時間を無理やり作っておいた11月半ば。さて、どこに行くかいな?と考えて出した結果が、
「鹿児島県に行く」ということでした。海は9月に宮古島でダイビング三昧したので、今回は山
なのある。ほんまは北アルプスにと思ったが、この時期無謀。ならばちょっとは暖かいであろう
屋久島へと 安直な考えであった。
今回はいかにお金をかけずに過ごすか!もテーマなので安っすい方法での移動と宿泊である、
11月15日 日曜日 夜から21日土曜日 朝 までの行動記録です。どうかお付き合い下さい。