32歳の元大関高安(東前頭筆頭)が、22歳の王鵬を破った。
立ち合い、高安は右からかち上げ。激しい突き合いからさっと左下手まわしを取り、右で上手まわしに手をかけ、たたきつけるように王鵬を土俵に這わせた。
念願の初優勝に向けて、ぐいと一歩踏み出した。それでも春場所、そして先場所も終盤で悔しい思いをしているだけに、残り2日間は全く気が抜けない。
高安はここまで、かち上げを武器に勝ち進んできた。
前腕をカギの手のように曲げて相手の胸元、あごなどにたたきこむ。前日の竜電戦はじめ毎日の取組で繰り出している。
高安にとっていまや、手放せない技だ。
ただ、かち上げはプロレスのエルボー、ひじうちと紙一重で、非常に危険な技だ。
元横綱の朝青龍(あさしょうりゅう)は、相手を失神させるために多用して批判された。横綱白鵬も現役時代、張り手とともにひんぱんに繰り出して厳しく批判され、横綱審議委員会からも苦言が出た。
かち上げは、相撲のルールで禁止されているわけではない。元力士なども「ひどい取り口ではない。相手がかち上げもできないような鋭い立ち合いを磨け」と、擁護する意見は根強い。
相撲解説者の舞の海氏(元小結)は12日目のテレビ放送で「千秋楽までかち上げでいってほしいですね」と、あおった。
個人的には高安に、なんとかして初優勝に手が届いてほしいと思っている。
入門直後、稽古がつらくて、部屋のある千葉県松戸市から故郷の茨城県土浦市まで深夜、自転車で何度も逃げ帰った。
兄弟子の元横綱稀勢の里(現二所ノ関親方)と繰り広げた、火花が飛び散るような激しい稽古も見てきた。
そこで力をつけ、大関まで駆け上がった。それでも、幕内優勝にだけは届かなかった。
それだけに、力士の大目標でもある栄冠を、と勝手に願っている一人だ。
かち上げを多用しなくても、得意の突き押しだけでなく、四つに組んでも十分相撲が取れる。その力を存分に発揮すれば高安はやれる、と思うのですが、甘いですか。
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