玉鷲(たまわし=西前頭12枚目)が、伸び盛りの王鵬(おうほう=東前頭12枚目)を破って、勝ち越しを決めました。
激しい一番でした。
立ち合いから互いに突き、押し合い。玉鷲が張り手交じりの突き押しで、一気に突き出し。
16日に39歳の誕生日を迎えたとは思えない内容に、23歳の王鵬はタジタジでした。
立ち合いからの鋭い突き押しを得意とする玉鷲ですが、先場所は初日から11連敗。〝玉鷲はこれまでか〟とさえ思わせました。
ところがどっこい、今場所は初日から、本来の闘志相撲で土俵を盛り上げています。
これまで2回の幕内優勝を遂げている実力者のいまの目標は「もう一度優勝」。年齢からすれば大胆過ぎますが、本人は真面目にそう思っています。
所属する片男波部屋は、福岡県朝倉市に宿舎を構えており、場所前、住民、多くのファンに〝必ず勝ち越す〟と約束してきたそうです。
2017年に大変な豪雨被害を受けた地域で、支援活動に力を入れてきた玉鷲からすれば、応援してくれる住民のためにも負けられない。それが発奮材材料の一つになっているようです。
それにもまして、すごいのは、やはりその気力です。
相撲界も最近は、現役年齢が伸びてはいます。しかし力士が現役として立ち向かうには激しいスポーツで、横綱稀勢の里が32歳、横綱貴乃花は30歳で引退しています。
番付がそこまでいかなかった力士でも、30歳を超すと、引退の道を選ぶ人はやはり多い。そのあたりが、普通の勤労者の65歳ぐらいにあたるのでしょうか。
ですから力士の39歳は、サラリーマンでいえば、70歳かそれ以上になります。
その年配力士が、もう一優勝したいと言い、若手をタジタジさせる相撲を繰り広げている。その気迫には圧倒されます。
何よりも〝くそっ、あのおっさん力士に屈してしまった〟と、若手力士を刺激し、闘志を掻き立てています。
ここまできたら、40歳はおろか45歳の力士・玉鷲の相撲をぜひ見たくなります。
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