14日目、事実上の優勝決定戦となった横綱照ノ富士(てるのふじ)―前頭15枚目阿炎(あび)の対戦は、横綱の勝利で決着しました。
立ち合い、阿炎が徹底して突いて、横綱を土俵際まで押し込みました。よもやと思わせる勢いでしたが、残した横綱が、右を浅く差し、左からグイと押し倒し。阿炎の優勝は立ち消えました。
ただ、敗れたとはいえ阿炎は力を出し切りました。番付の地位が大きく離れ、本来組まれるはずのない取組が組まれたこと自体、自らの力闘を裏付けるものでした。この経験はかならず生きるはずです。
(「行司待った」について)
話は一転。前日13日目の遠藤(えんどう)―明生(めいせい)戦の立ち合いについて一言あります。
遠藤の手つき不十分として、行司の木村玉治郎が、3度も「待った」をかけました。4度目でようやく成立し、遠藤が押し出したものの、両者が頭からあたる厳しい立ち合いを3度も止めたのは、なんとも異様でした。
ビデオで確認しても、遠藤は右手をしっかりつき、左手は土をかするようにして立っています。
力士当事者の集中力をそぎ、見ている側も、熱戦の期待に水をかけられた気分でした。
大相撲の勝負規定では「立ち合いは腰を割り両掌(りょうて)を下ろすを原則とし、制限時間後、両掌を下ろした場合は『待った』を認めない」とあります。
この立場から、相撲協会は、立ち合いでしっかり両手をつくことを求め、不十分な場合は行司や土俵下の審判が待ったをかけています。
それに異議はありません。納得できないのはその判定がバラバラなことです。
きちんと両手の手つきを求めるかと思えば、だれが見てもほとんど手をついていない力士を見逃している場合も、しばしばあります。玉治郎にしても、一貫性があるとは言いがたい。
戦前、戦後の大相撲界で活躍し、引退後はテレビで解説を長く務めた玉の海梅吉さん(最高位関脇)は立ち合いについて、仕切りは腰を十分下ろすことは絶対守らせなければいけない、そのうえで〝原則〟などというものは、守ってもいいし守らなくてもいいという、あいまいなものである〟と指摘。片手だけは確実につけさせるという方法はどうか、と投げかけています。
緊迫した相撲に水を差すことがないよう、こうした提案もぜひ検討してほしいと思います。
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