こんにちは、サマーです
今回は太宰です!
太宰治といえば、「人間失格」や「走れメロス」、「斜陽」
などが有名ですよね。
「人間失格」も、ドロドロした人生のリアリティがあって好きですし、
「斜陽」の上品な始まり方なども大好きなのですが。。。
太宰の作品では、私はこの「満願」が一番好きなんです。
本当に短くて10分足らずで読めてしまうお手軽小説なのですが、
その短いストーリーに太宰の才能とセンスが光っていると私は感じます。
言葉にするのは難しいのですが、この物語は
儚くて、美しくて、とても心洗われるのです。
「裏口からまわって、座敷の縁側に腰をかけ、奥さんの持って来る冷い麦茶を飲みながら、
風に吹かれてぱらぱら騒ぐ新聞を片手でしっかり押えつけて読むのであるが、
縁側から二間と離れていない、青草原のあいだを水量たっぷりの小川がゆるゆる流れていて、
その小川に沿った細い道を自転車で通る牛乳配達の青年が、毎朝きまって、おはようございます、と旅の私に挨拶した。」
見たことも行ったこともない時代の話なのに、頭の中に広がる風景が
なぜか少し懐かしくて不思議な気持ちになります。
まるで、太宰の言葉の魔法にかけられたような、そんな気持ち。
この物語は、人間の本能的な性的欲求などをその文章力で美しく描写していて、
色々な意味で、大人向けかなぁと思います。ふふ。
私はこの小説の「簡易服に白いパラソル」…つまり、ワンピースに白い日傘に
憧れて、白い日傘を買ったんです。宮崎駿監督の、「風立ちぬ」に出てくる
菜穂子さんのような…。 夏になるとつい「くるくると」、白いパラソルを、まわしてしまいます
さて、白い日傘というと、モネの「散歩 日傘をさす女」(クロード・モネ 1875年作)を
思い出します。この作品の裏にあるストーリーが、本当に、素敵なんですよー!
この絵のモデルになった、モネの最愛の妻カミーユがある日病気で亡くなってしまうんです。
モネはそのあと、2枚同じような絵を残しています。
しかしどちらにも、影がなく、顔がぼんやりと描かれています。
それは「人物画」ではなく、「風景画」とされています。
つまり、きっとモネは人物を描きたかったのではなく、亡きカミーユのいる風景の中の一瞬を切り取り、
絵の中に留めたいという思いがあったのでしょう。
それ以降、モネは人物画は一切描かないんです。
永遠の、真実の愛ですよね♡
太宰治の「満願」であったり、モネの「日傘をさす女」であったり。
日傘の下には、物語があるのでしょうね。
ではまた!
さんぱいじゅんぱ。