有頂天家族の続編が26日に発売だと!
サイン会も行きたいが、無理だなあ……。
とりあえず発売日に買おう。
〇
〇
〇
・夢野久作『犬神博士』( 角川グループパブリッシング; 改版 (2008/12/25))
『少女地獄』(角川書店(角川グループパブリッシング) (1976/11/29))
・小林泰三『肉食屋敷』角川書店 (2000/09)
・平谷美樹『将軍の象 採薬使佐平次』角川書店 (2013/10/1)
・新井素子『あたしの中の……』集英社; 〔愛蔵版〕版 (1996/05)
・皆川博子『皆川博子コレクション4 変相能楽集』出版芸術社 (2013/9/30)
・夢野久作『犬神博士』・『少女地獄』
――おカッパ頭の少女のなりをした踊りの名手、大道芸人の美少年チイは、風俗壊乱踊りを踊ってワイセツ罪でつかまるが、超能力ぶりを発揮して当局者をケムにまく。つづいていかさま賭博を見破ったり、右翼玄洋社の壮士と炭坑労働者とのケンカを押さえるなど八面六臂の大活躍。大衆芸能を抑圧しようとする体制の支配に抵抗する民衆のエネルギーを、北九州を舞台に、緻密で躍動的な文体で描き出す、夢野文学傑作の一つ。――『犬神博士』
夢野久作面白い。『ドグラ・マグラ』も好きだったけれど、あれは結構リクツっぽいところがあって意外に真面目な小説でした。
『犬神博士』は大カツゲキエンタテイメントといった感じで、とにかく主人公の少年が活躍しまくります。
7歳の主人公は養い親と共に大道芸をして日銭を稼いでいる流れ者。
少年だけど少女の恰好をして天才的な踊りを舞い、見ただけで花札の柄を見抜き少し練習しただけでサイコロのイカサマの手法も体得、身軽な身のこなしとその度胸の良さ、幼さゆえの純真さ、多少の運の手助けも借りて、一地方を巻き込んだ騒乱をまとめてしまう。
というだけなら、ただの「凄い少年がいたもんだ」で終わってしまうのですが、不思議な語り口でして。
晩年の主人公が昔語りをしている、という構成なのですが、その主人公の今現在があばら屋にゴミに埋もれて住む偏屈な老人。
犬神博士というのはこの時の主人公のあだ名です。犬神のように未来を予知する神通力があるかららしいのですが、その場面はついぞ出てきません。
この落差はちょっと凄いです。終わり方にしても唐突な感が否めず、これで終わり!? と思いました。
一体あの後少年に何があって今がこうなのか語られず。あえて書かなかったのか未完なのか……。
でもこの言葉遣いがいいですよねえ。どぎつい訛りに時代を感じさせる口調。カタカナで強調される単語。好きです。あと表紙が素敵。
――彼女を生かしたのは空想です。彼女を殺したのも空想です――可憐な美少女・姫草ユリ子。彼女は接触するすべての人間に好意を抱かせる天才であり、虚構の天才でもあった。ひとつの嘘を支える為に、新たな嘘をひとつつく。無限に増殖された嘘が綻びはじめたとき、虚構に生命をかけていた彼女が、選んだ道とは……。3つの異なる書簡で綴られる表題作のほか、「女坑主」「童貞」などを収めた短篇集。――『少女地獄』
タイトルがまずいいですよね。少女地獄。
この本は『少女地獄』『童貞』『煙を吐かぬ煙突』『女坑主』が収められた短編集です。
また、『少女地獄』の中にも上記の姫草ユリ子の話『何んでもない』と、女車掌の少女が遭った悪魔的な男との破滅の話『殺人リレー』、清廉潔白な人物の裏の顔を知った少女が恐ろしい復讐を行った話『火星の女』の3つが入っています。
この3つ全てで一つの少女地獄でした。最初続いているのかと思って読んでしまいました。それぞれ繋がってはいないのですが、先に結末があって顛末をあとで手紙という形で追っていくという話が多いです。
確かに姫草ユリ子は嘘も上手かったけれど、看護の腕は確実だし、周囲の人を虜にしてしまう話術・献身はやろうと思ってもナカナカ出来るものでは無いと思いました。本当の嘘つきは自分自身をも騙してしまうと言いますが、彼女もそういう人なのでしょうか。
ただ、時折人のいないところで見せる表情や、詰まらない詰まらない、死にたい死にたいというセリフも本心なのでしょう。
なんとなく、だいぶ前に深夜映画で観た『穴』という映画を思い出しました。嘘つきの女の子の気味悪い映画。
それから『火星の女』は結構わかりやすいタイプのオモシロイ話です。女子高の廃屋が火事になる事件があり、その中から黒焦げの女が発見される。
何故か狂いだし失踪する校長、金を持って逃げる書記の傴僂男、縊死を遂げる女教諭。大阪でみつかった校長は「火星の女は知りませんか」などと口走り……。
火星の女こと甘川歌枝は、並外れた身体能力を持っているがその外見から気味悪がられていた少女。火星からきたのではないかと言われてこの名がついた。
いつも一人ぼっちの彼女は、誰も来ない廃屋で過ごすことが多かったのだが、そこは校長と書記が悪事を相談する場所であり、それを知り向こうにも知られてしまった彼女は追い詰められていく。
そこで彼女は復讐の手段として告発の手紙と焼身自殺を図る。
――私は、校長先生と御一緒に、腐敗、堕落しております現代の自分勝手な、利己主義一点張の男性の方々に、一つの頓服薬として「火星の女の黒焼」を一服ずつ差し上げたいのです。――
小気味良くてテンポもいい話でした。
『童貞』はどうしようもない無常感、『煙を吐かぬ煙突』は意外な展開、『女坑主』は眉香子かっこいい。
阿部公房よりわかりやすくて好きかなあ。
・小林泰三『肉食屋敷』
――ジュラシック・パークに刺激された研究者が、6500万年前の地層の中にあるDNAから地球外生命体を復元してしまう「肉食屋敷」、西部劇をモチーフにゾンビの世界を描いた「ジャンク」、人間の一途な愛が恐怖を生み出す「妻への三通の告白」、自分の中にあるもう一つの人格が犯した殺人に怯える「獣の記憶」。現実のちょっと向こう側に渦巻く恐怖の世界を創り上げた傑作短篇集。――
頭おかしい人ばっかり出てくる短編集です。
『肉食屋敷』は映画の『ジュラシック・パーク』の復元方法を否定していて、あれじゃあちょっと遺伝子のおかしいカエルが出来るくらいだとか。確かにそうかもしれないですね。でも本作は地球外生命体です。リアリティがあるんだかないんだか。
『ジャンク』は一番面白いと思いました。多分そうだろうなと予想していた展開の上をいきました。世界観も独特なものを構築していて、別の話も読んでみたいです。
『妻への三通の告白』は多分そうだろうなと予想していましたがそれを上回る読後感。良いか悪いかは言わずもがなですが。三通の手紙を、年代を遡って読んでいくので、一度読み終わって冒頭に戻るとイメージが変わります。
『獣の記憶』はちょっと複雑な、サスペンスでした。頭おかしい人ばかりでこちらまでおかしくなりそうな感じです。集金人が可愛い。
・平谷美樹『将軍の象 採薬使佐平次』
――将軍吉宗に献上するために輸入されることになった二頭の象。一度は白紙になったものの、なぜか長崎に着いてしまった象を巡り、老中たちの陰謀が明らかになっていく。佐平次は解決できるのか…新解釈の時代ミステリ。――
第二弾! ですが、ミステリ……道中記というほうが正しい気がします。もちろん謎もあるのですが謎解きはフレーバー程度に感じました。それよりも佐平次が。
今回の佐平次さんは活躍してくれました。というか万能すぎて危ない。刀を抜けば強いし、推理させれば賢いし、象には懐かれるし、象使いの女性には惚れられるし、人望ありまくりで慕われているし、しかも気さくだし。いやぁ、うーん。想像だけど絶対渋くていい声ですよね。
相棒の梨春さんは博識だけど無愛想なキャラクターかと思っていましたが、そうでもないようでした。なんだか前回と性格変わっていないですか? そうでもない? 頭でっかちの助手っぽい憎めない方になっておりました。
おじいちゃんは無理しないで欲しい。でも好きだからもっと活躍してほしい。
ストーリーは、享保13年(1728)に実際、八代将軍吉宗の命で広南(いまのベトナム)から江戸に象が献上された史実を元にしています。
物の本で読んだ象の話をした吉宗の「御心を悟り」象を連れてくる計画が持ち上がる。しかし、象を連れてくるはずの商人が死亡し、計画はいったん白紙に。
長崎から象を連れてくるには莫大な金が掛かるので、吉宗はそのことに安堵していた。
ところが「気を利かせた」別の商人が牡牝二頭の小象を連れてくる。
始まる象道中。しかし、牝の象が毒殺されるという事件が起きる。象目付役に任命された佐平次が遺された牡象「聖天」を狙う者たちから守りながら江戸を目指す。
高まる民の不満、相反する意思、象の命を狙う者たちとは、象を連れてきた商人の正体とは――?
吉宗がはっきり、象いるならいる、いらないならいらないと言えばこんなことにはならなかったのじゃないかと。人も象も無駄死ではないですか。
それと、江戸に着いた後の聖天、史実とはいえ書き方がダイジェスト過ぎて可哀相です。創作するなら、もっと何か救いがあってもよかったのではないかと思ってしまいました。
……第三作目に期待。
・新井素子『あたしの中の……』
――えっ、あたし崖から落っこったんですか。バスって何のバス。それに…あたしはいったい誰なんだろう。「あたしの中の…」「ずれ」鏡のあちら側へ右手をつっこんだあたし。そうすると―。「大きな壁の中と外」どうしてチェシャは壁の中にはいってはいけないの。「チューリップさん物語」ボク、今年で三つになるチューリップ。名前はトト。奇想天外新人賞入賞作「あたしの中の…」ほか三編を収録。――
なんだか癖になる作者です。でも読み続けると食傷気味になりそうなので、緩いペースで読んでいこうと思います。
表題作は記憶喪失の不死身の女子高生が何度も命を狙われ、その度に死んだ人たちの魂が自分の中に入り込んできて――。
一体主人公は何者なのか、というのは大体読んでいるうちに想像がついてくるのですが、落とし方が一癖あります。結局あたしの中の……に続く言葉は、「地球」なのでしょうかね。
『ずれ』は鏡の中の世界、というSFというよりはファンタジーかなと思いつつも、鏡の中への入り方がファンタジーではない。
主人公の少女が寝ていると、ベッドの脇に吊るしていた大きな鏡が落ちてきて、割れた破片がこめかみに突き刺さり死んでしまう。
気を失って目を覚ました主人公が洗面所の鏡を見ると、自分の姿が映っていない。鏡に手を伸ばすと向こう側に突きぬけ、そこは左右が逆になった世界。その世界の自分は生きており、どうしようかと相談する。しかしイレギュラーな事態に鏡のこちらと向こうではだんだんずれが起き始め――。
終わり方が少し唐突でしたが、最後はサスペンススリラー。
『大きな壁の中と外』はがっちりSF。未来世界のいわゆるユートピア世界はディストピアと紙一重であり、その問題を打開するにはどうしたらいいか、という主題を持った冒険活劇というか。
少女漫画的な作風。
『チューリップさん物語』はダークな感じ。悪意が怖い。
愛蔵版を読んだのですが、あとがきがたくさん入っていました。星新一のあとがきも読めてお得です。
・皆川博子『皆川博子コレクション4 変相能楽集』
――相対するものたちの交錯と混沌を幻想的に描き出した表題作、連作「顔師・連太郎と五つの謎」ほか変幻自在の4篇を収録。――
── 推薦文 ──
口を閉ざせ。
目を見開け。
今ぞ我らが夜の女王再臨のとき。
あらゆるロジックを無化する黒き翼に、
ひらめく天衣は七彩、メビウスの帯。
闇に咲くは紅の──
椿、牡丹、
否よ。
あれは聖杯よりしたたる血潮、
あふれる蜜。
篠田真由美
皆川博子と篠田真由美って似ていますよね、作風。『螺鈿の小箱』とかドラキュラとか切り裂きジャックとか、題材もそうだし耽美な所も。篠田真由美のほうが少しライトなイメージありますが。
表題作は連作ミステリーです。顔師という、歌舞伎とか日本舞踊のメイクをする連太郎が主人公。無口で、古い人形を大切にしている。
行く先々で事件が起こるのは当然なのですが、思いもよらない人が死んだのは意外でした。その死を受けての殺人も。
連太郎は人形の五郎(御霊)に話し掛けることで自分の考えを整理し、五郎の声として自分の心の声を聞きます。聞きたくないことまでも。
しかし艶っぽいシーンがあるわけでもないし、連太郎は無口で人形を持ち歩く様な変な人物なのに、どこか色っぽいのがお見事でした。
他に収録作は、変相能楽集『景清』『幽れ窓』『夜光の鏡』『冬の宴』、『青裳』『祷(いの)る指』『メリーゴーラウンド』『青眉』『朧舟』です。
『景清』の淡い感じと切ない感じと不安な感じと生臭い感じ、わくわくしました。女の子かわいい。
『メリーゴーラウンド』は微妙に背徳の香りがする幻想的なお話。最後に掛かってきた電話はどういうことなのでしょう。
〇
〇
〇
最近テレビを観ていて、国会議員が間抜けに見えマツコデラックスが賢く見えるので不思議な感じがしています。議員って、どう考えても一般人より優れていると思うんですけどね。やっぱり周りが同レベルだと力って発揮できないのでしょうかね。国会議員の生徒会長経験率を知りたい。
それではまた。
さようなら。
『わからぬか!本当の自由とは誰かに与えてもらうものではない。
自分で勝ち取るものだ。しかし民は自分以外にそれを求める。
自分では何もしないくせに権利だけは主張する。
救世主の登場を今か、今かと待っているくせに、自分がその救世主になろうとはしない。
それが民だっ!』