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読書日記

神郡が読んだ本の感想や、諸雑記を書いていくブログ。
知り合いには見せられないなあ。

額を強打した、という意味で使います。

ここで「三つ目のキャラクター」に何を当てはめるかによって世代がわかる仕様にもなっております。





・最果タヒ『星か獣になる季節』筑摩書房 (2015/2/18)
・吉田篤弘『ソラシド』新潮社 (2015/1/30)
・山本弘『地球移動作戦』 早川書房 (2009/09)
・西條奈加『睦月童』 PHP研究所 (2015/2/25)
・シラー『群盗』岩波書店 (1958/5/5)



・最果タヒ『星か獣になる季節』

――地下アイドルの“きみ”、イケメンの“あいつ”、冴えない“ぼく”、ギリギリを生きる魂たちが織りなすダークでポップな純度300%の青春小説!!――


中原中也賞受賞の詩人が書いた小説。
体裁も左開きの横書きスタイル。普段読んでいる小説とは異なるリズムというかワードセンスというか。詩を書く人の小説だなあと思いました。

内容ですが、悪い意味ではなく読むのがいたくてつらい。抉られる思いがしました。

主人公は高校生で、友人のいないアイドルオタクの「ぼく」。
ある日アイドルの「きみ」が殺人を犯したというニュースを知る。
「きみ」の家に行くと、クラスの人気者で喋ったことはないけど同じアイドルファンの「あいつ」森下がいる。
「ぼく」と森下は「きみ」の罪を引き受ける為に模倣して殺人を犯していく。


森下は本当に屈託がなくていいやつなんです。純粋にアイドルの子を助ける為に人を殺していく。「ぼく」の一人称視点なので実際にそういうシーンが描かれることはないし、森下の心中もわからないのですが。
簡単な用事でも引き受けるように「じゃあ殺すのはやっとくよ」とか、だんだん自分に嫌疑が掛かるように近しい人物を狙うとか、捕まった後のこととかも冷静に考えている。

「ぼく」も純粋にアイドルが好きで応援しているのではなく、外見以外に取り柄がなくて、かわいいだけで才能がない「きみ」が、努力している姿を見て軽蔑出来るからという理由で好き。
平凡な「きみ」が殺人という非凡な事件を起こしたことが許せない。

二人で電車に乗っているシーンで、「ぼく」が森下のことを、彼のようにはなりたくなくて、森下のことをただいいやつだと思っている、彼のばかな友人になってみたかった――というところがなんというか……。

他にも後日談である『正しさの季節』とあとがき所収。
はまってしまったかもしれません。『死んでしまう系のぼくらに』も読んでみたいです。



・吉田篤弘『ソラシド』

――ひとたび存在したものは、誰かの中で生きつづける―。拍手もほとんどない中、「ソラシドです」と二人組が現れた。ギターを弾きながら歌う彼女と、ひたすら黙々とダブル・ベースを弾く彼女。二人とも男の子みたいな女の子だった。消えゆくものと、「冬の音楽」をめぐる長編小説―。――


今までとは違って、現実と非現実の境目や言葉遊びのない静かな落ち着いた小説でした。暗いといってもいいかもしれないです。内容が暗いわけではないのですが。

主人公は自分自身をモデルにしているのかなと思うような人物で、物書きの男です。
「冬の音楽について書いてください」という依頼の元、1986年の日記と「ソラシド」という二人組のバンド探しを軸にした、過去と現在、家族を巡る物語でした。

昔の喫茶店のコーヒーはなんであんなにまずかったのか。ノイズ混じりのレコード、雑多なアパート、今は探してももうどこにもないものたち。
そういう寂しい話です。
ところどころに今までの作品で出てきた名前がちらほら出てきました。ポークパイハットとかパスパルトゥとか。嬉しいんですがなんだか集大成という感じがしてそこも少し寂しい。



・山本弘『地球移動作戦』

――西暦2083年、超光速粒子推進を実用化したピアノ・ドライブの普及により、人類は太陽系内のすべての惑星に到達していた。観測プロジェクト“クリーンアップ計画”により発見された謎の新天体2075Aの調査のため、深宇宙探査船DSS‐01“ファルケ”が派遣される。船長のブレイドをはじめとする搭乗員たちによる観測によって、この星は24年後に地球に迫り壊滅的な被害をもたらすことがわかった。迫る厄災の報を受けた地球では、様々な対策案が提唱される。ブレイドの姪である12歳の天才少女・風祭魅波はACOM(人工意識コンパニオン)のマイカとともに、天体物理学者である父・良輔が発案・提唱した驚くべき計画の実現を決意するのだった…。著者入魂の本格長篇宇宙SF。――


ハヤカワSFシリーズ・Jコレクションですよ!
内容は本格SFですが本格的過ぎてところどころよくわかりませんでした。
作者はゲームデザイナーだそうです。ネットアイドルで作品を作る人を~Pと呼ぶとか空飛ぶスパゲッティモンスター教とか出てくるのもその辺の影響ですかね。

わかる範囲内で要約すると、24年後に地球とぶつかる星があるので、地球の軌道をずらして地球ごと救おうとする人々と、肉体を捨てて仮想空間に意識を移し理想郷を築こうとする人々の話。アルカディアかマトリックス的な。簡単にいうとそんな感じです。

流れ的には地球を救うというのが王道なのですが、理想郷を作るという「セカンドアース」もそう悪い作戦ではないように思えました。
ACOMという知性を持つAIがいるのですが、彼らが新たな生命体であって何故悪いのかわかりません。作中ではアシモフの3原則や、人間がいないとつまらないからとか理由をつけていましたが、結果が逆であっても面白かったんじゃないかなあと思いましたよ。説得力ありました。

後半はドンパチありロマンスありの展開でエンターテイメントとして良い出来でした。
ただ決まった主人公というものがいないので、あまり感情移入できなかった面もあります。

そういえば最初に言ってた小指を立てるのはジョークの証、みたいな話は伏線じゃなかったのかな。



・西條奈加『睦月童』

――ある東北の村から日本橋の酒問屋に招かれた一人の少女・イオ。彼女は「人の罪を映す」という不思議な目を持っていた。荒れた生活を送っていた酒問屋の跡取り息子・央介は、彼女の目をみたことで激しい良心の呵責に襲われ、かつて自分が犯した罪を購おうとする。やがて更生した央介とイオは、彼女の目を使って、江戸で起こる数々の事件を解決していくことに。しかし、イオの出生の秘密を知る侍が現れたことで、二人の運命は大きく動き始める…。感動のファンタジー時代小説。――


設定からして『千年鬼』のような結末にならないといいなあと不安な気持ちで読みました。
未だにあれは表紙を見ると胸が痛い。

息子の非行に困り果てた酒問屋の主人が、神通力をもつ睦月童という女の子・イオを睦月の里へ呼びに行きました。睦月の里には十二年に一度、睦月童が下りてきます。
罪を持つ者が見ると金色に光り、その罪悪感を何倍にもするという目を見た酒問屋の息子・央介は更生し、イオと一緒に町の事件を一緒に解決していきます。

ここからです。睦月の里を知る小出様という侍と知り合いになった央介。睦月の民は呪われているという小出様。その呪いを絶つために睦月の里へと赴く後を追って、イオと央介も睦月の里へと旅立ちます。

日の光が苦手なイオ、女しか生まれない睦月の民、不思議な力を与える男でも女でも人間ですらないという睦月神、子どもを産むと引き換えに必ず命を落とす女たち、それらが示すものとは……。

結末は、そうですね、一見いい話風に見えます。が、どうなんでしょうこれ。希望と不穏の種が同居しています文字通り。思ったよりファンタジー、というかSFっぽかったですし。
色々予想を裏切る展開なのでハラハラ出来ます。

構成は後半展開が変わるところなんか乱歩の『孤島の鬼』っぽくもありますね。あそこまでじゃ全然ないですけど。でもイオかわいい。鯨(いさな)の親分の肩に乗っている場面いいですよねえ。



・シラー『群盗』

――18世紀後半、ドイツでは政治経済が沈滞する一方で文化・芸術が異常な活況を呈した。シラーはゲーテと共にこのシュトゥルム・ウント・ドラング期を代表する存在であり、処女作『群盗』は時代の記念碑である。失われた自由を求めるあまり盗賊隊長となって社会に抵抗する主人公カアルの心情は今も現代人の強い共感をよぶ。――


「唇には、接吻を! しかも胸には、短刀を、か!」
で有名な作品です。格好いい。

シェイクスピア的な悲劇の戯曲です。
領主の息子カアルは留学中? に起きたトラブルのお詫びを父親に手紙で送ると、野心家の弟フランツが勝手に手紙を捏造してしまい、父親は本当にカアルがとんでもない悪事を働いたと思い込み勘当を言い渡す。
それを聞いたカアルは絶望し、仲間と共に盗賊団を結成し本当に悪事に染まっていく。
一方父親と恋人には、カアルは戦死したとフランツは嘘をつき、そのショックで父親は死んでしまう。全てが露見した時には時すでに遅く……。

フランツ悪い子すぎる。そして嫌われ者すぎる。
しかしカアルの恋人アマリアさんかっけえ。言い寄るフランツをばっさり切り捨てるところ痺れますね。

そしてまたこの古い言葉遣い、たまらない……。
「どけ! どけ、おれの前から! きさまの名も、人間というのだろう?」とは父親に勘当され(たと思い込んで)て人間不信に陥ったカアルの台詞。
いいなあ。にやにやしてしまう。





天津飯が四本腕になったり巨大化したりする理由はなんなのか未だに気になります。もしや地球人ではない? 妖怪の類?
クリリンも鼻ないけど地球人?
亀仙人と占いババ姉弟の若い頃とか、気になりません?

ブウ篇の後からGTまでの間よりも気になる。でも需要なさそうですね。


それでは、また。
さようなら。


『キサマらのような クズヤロウどもには
 このクズカードが似合いだぜ!!』(激震フリーザ!!)