見掛けると「なつかしい!」と思うお菓子ってありますか?
なぜか小さい頃、鞄の底にいつからあるのかもわからない、粉々に砕けた「エリーゼ」が入っていることが間々あって、今でもエリーゼを見るとあの頃のなつかしい気分になります。ちなみに白いほうです。
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・乙一『Arknoah 2 ドラゴンファイア』集英社 (2015/9/18)
・円城塔『シャッフル航法』河出書房新社 (2015/8/27)
・米澤穂信『犬はどこだ』 東京創元社 (2005/7/21)
・小島達矢『ベンハムの独楽』新潮社 (2010/01)
・ヨーゼフ・ロート『果てしなき逃走』岩波書店 (1993/9/16)
・シャミッソー『影をなくした男』岩波書店 (1985/3/18)
・乙一『Arknoah 2 ドラゴンファイア』
――マリナ・ジーンズは、歯並びの悪い女の子。その歯のせいで、不良たちからいじめられていた。マリナは、納屋で彼らへの復讐の道具を探すうち、『アークノア』という絵本の世界に迷いこんでしまう。一方、砂漠を列車で移動する一行が。マリナと同じく『アークノア』に迷いこんだアール。『ハンマーガール』の異名を持つ少女・リゼ。犬の頭部のカンヤム。3人の目的は怪物討伐。“歯並びの悪い竜”を探していた…。――
乙一のファンタジーシリーズ、アークノアの続編です。
正直、前作もあんまり覚えていなかったしそこまで期待はしていなかったんです。
乙一の新作だし買うか、くらいの気持ちでした。
いやしかし、前作読み直してみて驚いたんですけど、一行目から乙一っぽさの全開であることよ。語り手の12歳の少年アールが、弟と一緒に写真の中の嫌な奴にピンを刺しているところから始まるって。
最初読んだ時は気に止めなかったなあ。乙一っぽいなあ。
ストーリーは異世界ファンタジーもので、奇を衒った作風ではないからあんまり印象に残らなかったのかもしれない。
でも端々の会話とか描写にらしさが出てるんですよ。
お話も面白いし上手だし。
でもたぶん、期待というハードルが高かったうえにファンタジーは初ジャンルだったこともあってちゃんと評価出来なかったんだろうなあと思うと、もったいないですね。
文庫化されたのでまだ読んでいない方はお得ですよ!
それで2作目のドラゴンファイア。
こちらは1作目でしっかり世界観が構築されていたのと、キャラクターが確立されていたので、それらを自由に動かして大冒険している、という印象でした。
アールのへたれ具合がまたいい。ひどい目に遭う度にうなされたり吐いたり、でもまたそれが似合うんだよなあ。
しかしこの読み終わった後、ピーナッツバターが食べたくなるのはどうしたもんかね? 巧妙なステマですよ。読む時は気を付けてくださいね。
次が出るのもまた何年後か分かりませんが楽しみです。
・円城塔『シャッフル航法』
――ハートの国で、わたしとあなたがボコボコガンガン支離滅裂に。『屍者の帝国』より3年、新時代のほら吹きがおくる待望の作品集。
・『内在天文学』
・『イグノラムス・イグノラビムス』
・『シャッフル航法』
・『φ』
・『つじつま』
・『犀が通る』
・『Beaver Weaver』
・『(Atlas)3(ルービック・アトラス)』
・『リスを実装する』
・『Printable』――
新作出たー! まだ『エピローグ』は読んでません読みたい。
そしていい! 『Self-Reference ENGINE』とか『Boy's Surface』とか『後藤さんのこと』と同じ匂いの短篇集です。
表題作の『シャッフル航法』がまた取り分け好きです。
これは小説か? 詩か? というような実験的小説というか。独特の韻の取り方が癖になります。
53の音節に分かれた文章を、最初と最後だけは同じで後は順序をめちゃくちゃにして再構成するという話(話?)なんですが、心地よいんですよねえ。
そもそも順序がめちゃくちゃというのも理解していないだけでなんらかの法則に則っているのかもしれません。ある朝に、その夜に、シャッフル航法、支離滅裂に。支離滅裂に。シャッフル航法。支離滅裂に。
その他の短編も不条理系ボーイミーツガールSF、宇宙的言葉遊び、グルメ小説風異星人の話、多重世界殺僕事件、などなど多彩なSF混ぜ合わせで楽しい、そして難しい。
でも『Printable』はなんか北野勇作の『ヒトデの星』っぽい。
いやあ、面白かった。
・米澤穂信『犬はどこだ』
――何か自営業を始めようと決めたとき、最初に思い浮かべたのはお好み焼き屋だった。しかしお好み焼き屋は支障があって叶わなかった。そこで調査事務所を開いた。この事務所“紺屋S&R”が想定している業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。それなのに、開業した途端舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。しかも調査の過程で、このふたつはなぜか微妙にクロスして―いったいこの事件の全体像は?犬捜し専門(希望)、二十五歳の私立探偵・紺屋、最初の事件。『さよなら妖精』で賞賛を浴びた著者が新境地に挑んだ青春私立探偵小説。――
思っていたのと違う感じですが、いい感じです。後味の悪さが素敵。
探偵の主人公と、助手。しかしホームズ役はチャット相手だったり、微妙に推理の繋がる爽快感がなかったり、期待していた展開にならずじまいだったり、わざと王道を外しているのかなという小説。うがった読み方をしているからか、なんとなく展開が読めました。
ただね、主人公の紺屋(こうや)がイイ性格なんです。良いではなく。
元銀行員で人当たりが良くて口調も丁寧なのに、腹の中は黒い、というか冷徹。打算的でだるがりで、正義感もないし使命感もない。その落差が面白いです。主人公なのに!
ヒーローはいなくて、みんな一般人なんです。そういう人間的なお話でした。
・小島達矢『ベンハムの独楽』
――ふたつの肉体にひとつの魂、五分先の未来が見える災い、文字で飢えを凌ぐ男の幸い、グロテスクな双子の仕打ち、冷笑に満ちた大人の仕返し。カラフルな9つの連環、恐るべき22歳の魔術。第5回新潮エンターテインメント大賞受賞作。
・『アニュージュアル・ジェミニ 』
・『スモール・プレシェンス 』
・『チョコレートチップ・シースター 』
・『ストロベリー・ドリームズ 』
・『ザ・マリッジ・オブ・ピエレット』
・『スペース・アクアリウム』
・『ピーチ・フレーバー 』
・『コットン・キャンディー 』
・『クレイジー・タクシー』――
趣味が悪い話と、普通にいい話が混ぜこぜになった短篇集でした。
連作といいつつ、同じ世界で起きている別の事件という感じで、決まった主人公などはいない、ですかねたぶん。
最初の話『アニュージュアル・ジェミニ 』が一応根底にはあるのですが、全く関係ない話もあり。『クレイジー・タクシー』が見どころかなあ。
ファンタジーもありなのかと思いつつそうでもなかったり。
一貫したテーマ、コンセプトはないようなので、一話ごとに切り替えて読んだ方が混乱がないと思います。エンターテインメントでした。
・ヨーゼフ・ロート『果てしなき逃走』
――オーストリアの将校トゥンダは第一次大戦のさなかロシア軍に捕えられ、赤軍の兵士として革命を戦うこととなる。10年ののち故郷に帰還したとき、もはやそこに彼の居場所はなかった…。ガリチアに生まれ、ウィーン、ベルリンを経てパリに客死した放浪のユダヤ人作家ロートが、故郷喪失者のさすらいを描いた代表作。――
思ったより故郷喪失感は少ないように感じました。兄もいるし。義兄弟もいるし。
行く先々で女性と恋をして、それでも故郷の婚約者を忘れられず、しかもその婚約者を愛している訳ではなく、女性の「象徴」として、ほとんどその意味の為だけに追い求めている。そんなトゥンダの寂寞感漂う放浪記。
彼には故郷が無い訳でもなく、待っている人がいない訳でもない。彼は故郷を追われてはいません。自分から「逃走」しています。
様々な出会いと別れを繰り返し、色々な思想に浸かりながら、最後には思想も欲望も主体性もない、ただそこにいるだけの人間となるトゥンダはもはや逃げる必要もなくむしろ生きている必要がない。そう思わせるラストです。
文体は読みやすいのですが比喩が多いですな。
でもおしゃれな比喩です。
・シャミッソー『影をなくした男』
――「影をゆずってはいただけませんか?」謎の灰色服の男に乞われるままに、シュレミールは引き替えの“幸運の金袋”を受け取ったが―。大金持にはなったものの、影がないばっかりに世間の冷たい仕打ちに苦しまねばならない青年の運命をメルヘンタッチで描く。――
久し振りに再読。面白いですよやっぱり。
テンポはいいし適度に寓話風でにやにや読めます。
影がないことがとんでもない罪悪であるかのようにいわれまくり、嫌われ続けるシュレミール。
うまく隠しても、どんなに施しをしても、ばれると鮮やかな手のひら返しに遭う。
そこへくだんの灰色の服の男が現れて、影をお返ししましょうかと囁く。しかしその代償は死後の魂の譲渡……。
まさしく悪魔ですね。素敵。誘惑のやり口が巧妙なんですよ。普通なら署名してしまいます。
最後、灰色の服の男のポケットから出てきたものは本当ぞっとします。それを見て我に返り、悪魔を退けたあたりでおわっても良かった気がしましたが。
短くて読みやすくて面白い。いい作品です!
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ところでなんでオバちゃんっていつもしるこサンドをくれるんでしょう? どこで売ってるの?
ということでまた。
さようなら。
『エピローグが再開の場所だ 三角塔はキミを忘れていない・・・』