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読書日記

神郡が読んだ本の感想や、諸雑記を書いていくブログ。
知り合いには見せられないなあ。

今日、図書館と本屋に行ってきて、今仕入れた本を確認したところ、8割ホラーとミステリーでした。
おかしいな、いつのまにこんな趣味に傾いていったのか。
女神転生で言えばダーク・カオスに寄っていっています。危ない。『よつばと!』や『ギリシャ神話劇場 神々と人々の日々』などでバランスを取らなくては。





・中田永一『吉祥寺の朝比奈くん』祥伝社 (2009/12/11)
・吉田篤弘『それからはスープのことばかり考えて暮らした』暮しの手帖社 (2006/08)
・江戸川乱歩『黄金仮面』東京創元社 (1993/10)
・萩原朔太郎『萩原朔太郎詩集』岩波書店; 改版 (1981/12/16)
・小林泰三『世界城』日本経済新聞出版社 (2015/12/9)



・中田永一『吉祥寺の朝比奈くん』

――彼女の名前は、上から読んでも下から読んでも、山田真野。吉祥寺の喫茶店に勤める細身で美人の彼女に会いたくて、僕はその店に通い詰めていた。とあるきっかけで仲良くなることに成功したものの、彼女には何か背景がありそうだ…。愛の永続性を祈る心情の瑞々しさが胸を打つ表題作など、せつない五つの恋愛模様を収録。――


『ラクガキをめぐる冒険』『交換日記はじめました!』『うるさいおなか』『三角形はこわさないでおく』『吉祥寺の朝比奈くん』を所収。
どれもこれも一癖あって仕掛けがある短篇集です。乙一天才か。
何気ない日常の会話が面白いし、ところどころに顔を出す自虐的だったり辛辣な面もくすりとくる。
展開は上手いし、読んで誰かに薦めたくなる本です。実際薦めました。
個人的には『交換日記はじめました!』の転がるような展開と、『ラクガキをめぐる冒険』の冒頭に最終章を持ってくる構成がツボでした。

ただどれもライトなので、読みやすいけど軽いのが苦手な人はどうでしょうか。面白いですよ。



・吉田篤弘『それからはスープのことばかり考えて暮らした』

――どんなときでも同じようにおいしかった。だから、何よりレシピに忠実につくることが大切なんです…。ある町に越してきた映画好きのオーリィ君と、彼にかかわる人たちとの日々の暮らしを描く短編集。――


月舟町が舞台の連作短編です。古い日本の映画に、いつも少しだけ出てくる「彼女」を観ることが好きな大里(オーリィ)君と、越してきたアパートの大家の大谷さん。サンドイッチ屋「トロワ」の安藤さんとその息子。それからあおいさん。どこかゆったりした雰囲気の漂う小さな町の、大きな事件はないけれど悩みが無い訳じゃない人たちの日常を描きだしたお話です。

ノスタルジーというか、どこかメルヘンさすら感じさせる空気感がある不思議な本でした。
小説よりおはなしというほうが合っています。読後感が優しい……。



・江戸川乱歩『黄金仮面』

――展覧会場から、はたまた侯爵邸から、まんまと目当ての品物を盗み出す怪人が出没した。しかもその顔は無気味な金色の仮面に隠されていて、正体が掴めない。事件解決に乗り出した名探偵明智小五郎も怪盗の狡知に振り回され、切歯扼腕するばかり。だが、頭脳の闘いなら明智も負けてはいない。恐るべき敵の正体を明らかにし、凱歌を奏する日も近い。手に汗握る推理と冒険の傑作長編。――


なるほどそうきたか。ちょっと反則的な気もしますが、当時だったら手に汗握りますねこれは。
顔を黄金の仮面で隠し、黄金のマントをはおった怪人が次々と狙った獲物を盗み出していく。
弱った警察は明智小五郎に助けを求め、明智と黄金仮面との対決が始まる。

明智小五郎のいいところは、事件が起きてから依頼されてやってくるところですよね。
前提に生きている人間のドラマがあり、登場人物たちはそれぞれに考え動き、いざ事件が起きてどうしようもなくなった時にやっと現れる主人公。
話ごとにそれぞれのメインの人物がいるのが好きです。
なぜか行く先々で殺人が起こるあの名探偵たちとは違いますね。無理がない。

今回はでもあんまり推理物ではないかも。大活劇。いつもですけど。さらにもっと。まあ犯人があの人じゃあ仕方ないか。
でもあの人も好きなんだけどなあ。



・萩原朔太郎『萩原朔太郎詩集』

――「詩はただ病める魂の所有者と孤独者との寂しい慰めである」といい、ひたすら感情の世界を彷徨しつづけた萩原朔太郎は、言葉そのもののいのちを把握した詩人として、日本の近代詩史上、無二の詩人である。代表作『月に吠える』『青猫』等より創作年次順に編まれた本詩集は、朔太郎(1886‐1942)の軌跡と特質をあますところなくつたえる。――



三好達治選。岩波創刊70年記念の赤いハードカバーのもので読みました。
学生の頃先生に教わった、

「こころをばなににたとへん 
こころはあぢさゐの花 
ももいろに咲く日はあれど 
うすむらさきの思い出ばかりはせんなくて。――」

の人と、ゲーム『BAROQUE』の

『萩原朔太郎は詩の中でこう言っていた。
「おわぁ、こんばんわ」
「おわぁ、こんばんわ」
「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ」
「おわぁぁ、ここの家の主人は病気です」』

が一緒の人だとは知らなかった当時。
今は『死なない蛸』の世界に戦慄します。

読んでいて、猛烈に萩原朔太郎の書いた小説が読んでみたくなりました。絶対面白いのに。
言葉の選び方が好きです。物語を感じさせる一文なんですよね。
鬱々とした作品も多いですが、故郷を詠んだ爽やかな詩もあったり、夢想的な美しい詩もあったり。ちょっと誇り高さもうかがえます。好きですねえ。

ところで萩原朔太郎の詩だとずっと思っていたんですが載っていなかったのがありまして。「男が暗い暗いと言いながら、明るい光の漏れる家の前を通り過ぎて行った」という感じの短い詩なんですけど、なんでしょうこれ。



・小林泰三『世界城』

――ホラー(『玩具修理者』)、SF(『海を見る人』)、ミステリー(『アリス殺し』)、
作家生活20周年の奇才が放つ、はじめての冒険ファンタジー

わたし、城の外に行きたいの
一家団欒に突然飛び込んできた少女は、「城」の外に出て行くと言う。
「城」の外に「世界」などないのに……。
物々交換でささやかな日々を送る村で少女が産み落とした赤ん坊は、
ジュチと名づけられ、村人全員によって育てられた。
11歳となったジュチは、大きな使命を持って村の外へと踏み出すのだが……。
「世界」とは何か。巨大な「城」にはどんな秘密があるのか。
傷つきながらも成長していく少年の姿をドラマチックに描く、
著者初の本格冒険ファンタジー、ついに登場! ――




ファンタジーだけど小林泰三っぽい鬱屈とした世界観ですねえ。
登場人物たちの独特なリズムで進む会話と、描写の容赦なさ。
優しくない世界と人間臭い人々。
いいです。すごく。
この1ページ先には主要人物だろうとどんな目に遭うか分からないというドキドキ、というより不安感。あっさりぶっすりいかれそうで、でもあっさりとは死ねなさそうな予感。

設定もワクワクします。巨大で広大な城に住む人々。「外」などないのに「外」を目指しているという少女。何もかも乏しい世界で、商人だけが村と村を行き来している。その商人が所属する「商会」、皇帝の存在、戦乱の予感。

世界観は好きなんですけど、あらすじが盛り上げ過ぎな気もします。ストーリーの重要な部分のほとんどは長老が語るのみですし、まだこの巻だけじゃ全然城の謎に迫れていないですし。

乞う続編! 早めにお願いします! でもいきなり文庫なので早そう。待ってます。





そういえば今やっているゲームもホラーだな。読んでる漫画もホラー(軽くコメディ)だし。
これからはもっとキラキラしたものをみつめるようにします。
でももうサモンナイトとか直視できないけれど。


それではまた。
さようなら。


『わからんちんとっちめちんだッ!』