海外シネマ発掘

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日常から開放されてホッと一息。心地よい映画のひと時を・・。

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フィフス・エレメント


原題  THE FIFTH ELEMENT


監督 リュック・ベッソン  1997年 フランス


出演 ブルース・ウィルス ミラ・ジョヴォヴィッチ



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2214年、巨大なエネルギー体が地球に接近しつつあった。コーベン・ダラスの運転するタクシー突っ込んでくる赤い髪の少女。コーベンは彼女リールーを神父の元へ届けるが、そこでリールーこそ地球存亡のカギを握ると知らされる。一方、地球の危機を救うための4つの石が、惑星フロストン・パラダイスでコンサートを行う異星のディーヴァに託されている事が判明。特殊部隊の精鋭でもあったコーベンはリールーを連れていく事になるが、敵の手がすぐそこまで伸びていた。(allcinema ONLINEより)



リュック・ベッソン監督は実に多彩な人物だと思う。Taxiシリーズのような娯楽作品があるかと思えば、監督業の初期には「グラン・ブルー」という叙情的な作品も残している。「フィフス・エレメント」は創作費100億円を費やし、アクションスターであるブルース・ウィルスを主役に配したSF大作となっている。ベッソン監督の作品をそれほど多く見てないのだが、SF作品にはあまり見られないユーモアもこの作品には取り入れられており、ベッソンならではと思った。ベッソンはこの作品の筋書きを16歳の頃に作っていたというが、なるほど奇想天外な物語が展開する。

地球に接近するなぞの生命体は、5000年に1度地球に降りかかる”邪悪な反生命体”であった。それを阻止するヒントがフィフス・エレメント、第5の要素なのだが、それがミラ・ジョヴォヴィッチ演じるリールーなのだ。リールーは反生命体(すべての生命を滅ぼす存在)に対する”完璧な生命体”の象徴的存在なのだ。


PIC UP


ミラ・ジョヴォヴィッチの出世作



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この作品の主人公はブルース・ウィルスなのだが、注目されたのはこれが出世作となったミラ・ジョヴォヴィッチであろう。ミラ・ジョヴォヴィッチ演じるリールーが、人体再生機によってカプセルの中で復元されるシーンは画期的であった。ミラ・ジョヴォヴィッチはウクライナ出身で、その後はバイハザードシリーズで活躍しているのは周知のことだと思う。グリーンの瞳がなんとも美しい女優なのだが、以前、かの中田英寿が彼女と付き合ってたという噂を耳にしたことがあるのだが、本当のことなのだろうか?



ファウンテン 永遠につづく愛


原題 THE FOUNTAIN


監督 ダーレン・アロノフスキー  2006年 アメリカ


出演 ヒュー・ジャックマン レイチェル・ワイズ



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病に冒された最愛の妻イジー(レイチェル・ワイズ)の命を救うため、新薬開発の研究に没頭する医師トミー(ヒュー・ジャックマン)。一方、イジーは残された時間を夫とともに心穏やかに過ごしたいと願う。そんな中、イジーは自分が書いている中世スペインの物語「ファウンテン」をトミーに読んでほしいと手渡す。(シネマトゥデイより)



これは傑作だと思う。久々に素晴らしい恋愛映画を観たという充実感と共に、感動を禁じえなかった。この映画は3つの物語がパラレルで進行する。その中心は現代のイジーとトミーの物語なのだが、映像は時折ヨーロッパ大航海時代のスペイン部隊の場面と、はるか永遠の未来を想像させる、ある男が映し出される場面が挿入される。


スペイン部隊の隊長は古代遺跡が眠るメキシコに赴く。それはスペイン国王の女王の命で、不老長寿の液を出す木を探していたのだ。はるかなる未来の男は、ある大木の前で遠い過去の記憶を思い出すと同時に、何かしら、取り返しの付かない後悔にさいなまれている。実は現代の物語のトミーと、スペインの隊長と未来の男は、時空を越えた同一人物だということがわかる。なぜはるかな来世において、トミーは後悔しなければならないか?


不治の病に冒された妻イジーのために、医師であるトミーは彼女を生きながらえさせるために何とかして新薬を開発しようとする。しかしイジーは死を受け入れようとしていた。そして、ほんのわずか残された命の時間をトミーに、ただ愛されたい、と願っていたいのだった。


イジーのその願いはトミーにも通じたのだろうが、それも完全ではなかった。結局この世において人と人が完全に分かり合えるということはないのだ。甲斐なくも死の旅に出て行ってしまったイジーに、トミーは後悔をすることになる。永遠に・・・。

トミーの過去世であるスペイン隊長は不老長寿の液を出す木を守る部族長を破り、木を切り刻むと、乳白色の液が流れ出す。それを口にすると、瞬く間に傷は癒えていった。彼は驚愕のまなざしと共に樹液をむさぼるように飲みだす。すると彼の身体は異変をきたし、草花が身体から生えだしてくる。やがては完全に飲み込まれ大地に消えてしまう・・・。


PIC UP


ユダヤ人の心象風景とは



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映画は最後、イジーの死に悲しみにくれるトミーが木の実を大地に植える場面で終わる。樹木、というのに監督は永遠の生命という象徴を付与しているようだ。

ダーレン・アロノフスキーはユダヤ系の人物である。アロノフスキー氏は3つの物語を用意することで、人間の心の心象風景を表現したかったのだと思う。趣は違うが、私はタルコフスキー監督の映像と共通するものを感じた。

しかしタルコフスキーとは明らかに違う。タルコフスキーの心象風景は、葉のさえずり、風のそよぎといった五感に響く自然現象であったように思う。一方アノロフスキーは黄金の光に包まれる大木といった視覚的にはっきりした現象である。


なぜ心象風景、あるいは深層心理に視覚的にはっきりとした映像が現れるか?日本人の感覚としてはそれはやや観念的な映像に見える。しかし聖書(旧約)を持った人種であるユダヤ人にはそれが自然の風景なのではなかろうか?ユダヤ人にとっては聖書の世界というのが絶対の世界であり、永遠のイメージの源になっているのだと思う。

そんなことを考えつつも、この映画は男女の愛をつづる、シンプルなラブストーリーになっていて、素晴らしいと心から思った。

超オススメ。

パンズ・ラビリンス


原題  EL LABERINTO DEL FAUNO/PAN'S LABYRINTH


監督 ギレルモ・デル・トロ   2006年 メキシコ/スペイン/アメリカ


出演 イバナ・バケイロ


2006年アカデミー賞撮影賞



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1944年のスペイン内戦で父を亡くし、独裁主義の恐ろしい大尉と再婚してしまった母と暮らすオフェリア(イバナ・バケロ)は、この恐ろしい義父から逃れたいと願うばかり自分の中に新しい世界を創り出す。オフェリアが屋敷の近くに不思議な迷宮を見つけ出して足を踏み入れると、迷宮の守護神が現われ彼女に危険な試練を与える。(シネマトゥデイより)



ファンタジーにも色々ある。冒険ファンタジーもあれば、恋愛や、SF物も。「パンズ・ラビリンス」が分類されたのはダークファンタジー。この物語はグロテスクで、物悲しい。恐るべき暴君であり、“絶望的な現実”の権化である大尉となぜ母は再婚したのか、少女であるオフェリアにはわからない。与えられた特殊な能力により、オフェリアはファンタジーの世界と交流することができる。しかしオフェリア以外の人間にとって彼女の行いは奇妙な振る舞いである。大尉の子を宿し、難産に苦しむ母親を、死から救うべくヒントを迷宮の世界からもらい、それを実践していたオフェリアだったが、その行為を大尉にたしなめられ、母にも叱られる。


「現実は楽しいことばかりじゃないの。むしろその逆なのよ。辛いことばかり。それをわかってちょうだい」


オフェリアは混乱するばかりだった。

母親は死んだが、子供は生き残った。彼女の弟である。迷宮の世界ではオフェリアは皇女であった。迷宮からの使者は彼女に告げる。


「弟を連れて満月の夜半までにあの泉にまできなさい。そしてその尊い血を滴らせるのだ」


子供を奪いオフェリアはひた走った。大尉が後をつけてくる。彼女は、間に合わなかったのだ!

大尉に子供を奪われると、オフェリアはピストルで撃たれ、死体が泉に横たわる。その時オフェリアの身体から流れ出した血によって、物語の最後で、奇跡が生まれるのだ・・・。



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スペイン内戦とは


「パンズ・ラビリンス」の時代背景はスペイン内戦時のことである。スペイン内戦とは、第二次世界大戦が始まる前にスペイン国内で起こった、当時の独裁政権とレジスタントの戦いである。フランシス・フランコ将軍を長とする独裁政権は、その時台頭しつつあったファシズム的な様相を呈していた。レジスタンスはいつの時代でも少数派であり、この物語の中でも悲惨な事態を招くのだった。一方ファシスト側を代表する大尉は、悪の権化として、物語に陰影を与えているのだが、大尉のようなとてつもない悪役が、物語の最後まで生き続けていることに、私は少なからず違和感を覚えた。しかしもしかしたらその違和感は、アメリカ映画を中心に観ている私にとって、生じたのかもしれない。

アメリカという国では、悪者は滅びる運命にある。悪役は物語の早い段階で死して退出する。しかしスペインとなると事情は少し違ってくるらしい。とんでもない悪役の大尉が、中々殺されないのがもどかしくもあったのだが、もしかしたら悪人をも生きながらえさせるという土壌が、スペイン文化の中に残されているのだろうか、という疑問をこの映画を観終わった私は生じたのである。