
大事なことは、聞き逃してしまうほど平凡な言葉で語られる――。
「国立現代図書館」設計コンペの闘いと、若き建築家のひそやかな恋を、
浅間山のふもとの山荘と幾層もの時間がつつみこむ。
朝日、毎日、読売、東京、共同ほか各紙文芸時評で話題沸騰!
胸の奥底を静かに深く震わせる、鮮烈なデビュー長篇。
「夏の家」では、先生がいちばんの早起きだった――。
物語は、1982年、およそ10年ぶりに噴火した浅間山のふもとの山荘で始まる。
「ぼく」が入所した村井設計事務所は、夏のあいだだけ、
軽井沢の別荘地に事務所機能を移転するのが慣わしだった。
所長は大戦前のアメリカで名匠ライトに師事し、時代に左右されない
質実で美しい建物を生みだしつづけてきた寡黙な老建築家。
秋に控えた「国立現代図書館」設計コンペに向けて、所員たちの仕事は
佳境を迎え、その一方、先生の姪と「ぼく」とのひそやかな恋が、
ただ一度の夏に刻まれてゆく――。
ディテールのひとつひとつに小説を読むよろこびが満ちあふれ、
The written was plain, but feeling warm.
🐝BHB🐝