お祭りの夜の無駄遣い。
色とりどりのお豆を拝見していましたら、幼い日の夏祭りの夜を思い出しました。
まだ祖父が生きていた頃の事。
賑わうお祭りの夜店の中で、ひっそりとひと気のないお店があったのです。
それは、お年を召された方が色々な種類の豆菓子を売っているお店でした。
子供たちはみんな綿菓子や林檎飴に夢中で、甘納豆になど関心がありません。
祖父はそこで、大量のお豆を買って、家族から顰蹙を買いました。
「お父さん、またそんなもの買って」
私が黙って祖父の後をついて歩いていくと、
今度は、祖父は、売れなくて、冷たくなってしまっているかすていらを買いました。
祖父はお祭りの夜はいつもそうやって、売れないお店を周っては、
誰にも欲しがられず困っているような品物をたくさん購入するのでした。
それは、どんなに家が裕福になっても、家族に贅沢ばかりさせ、
自分はいつも質素だった祖父の、唯一の無駄遣いで。
私は、祖父とは別に歩く家族から離れ、
「かすていらは焼きたての方が良いなあ」なんて心の中で思いながらも、
やっぱり黙って、祖父の後ろをついて歩いていたのでした。
素敵なあなたに幸あれ