話は再び過去に戻り・・・


結局、罵倒の日々はしばらく続き、長野の彼とは別れることになった。

色々返さなきゃいけないものもあり、最後に1回だけ長野に行った。


会った瞬間・・・目を疑う。

迎えに来た彼はVOLVOから降りてきた・・・。

つい3週間前は、シルビアだったのに。


気まずい雰囲気の中で

「車、どうしたの?誰の車?」


「俺の」


「・・・えっ?あの車?」


「あの車はおまえとの思い出がありすぎて二度と乗りたくないから」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


それにしたって、いきなり500万くらいの車に乗り換えてるって。

男の意地?

乗り心地が落ち着かなかった。もう私の場所はなくなったと感じた。

心が痛かった。

これでいいんだとも思った。



そのときどんなことを話したのか、今となってはあまり記憶にない。

お決まりの善光寺詣でのあと

ファミレスに入って・・・あまり食べれなかったことは覚えてる。

「最後におごってやるんだから食え」と言われたことも。


その後はただ、彼も私も泣いていた。

ただただ迫り来る時間まで、泣いていた。


ごめんという言葉さえ上手く言えなかった。


彼は最後まで納得できないでいた。


でも列車の時間は待ってくれなかった。


あの日以来、私は長野に行ったことはない。


今なら新幹線で1時間半。

新幹線がもう少し早く開通していたら・・・あの恋はどうなっていただろう。


そして、私は今・・・どうなっていたのだろう。


こういう状況になって、時々思い出す長野の情景がある。




いきなり話は現在・・・


先週の金曜日、やく1ヶ月ぶりに夫を会った。

のちのち、なんで会って話してるかは書きますが、離婚に向けわたし達は会って話している。


待ち合わせの渋谷。

私は、彼に会うとき、MAX美しくみせるようにしていく。

別れるのもったいないかな・・・と思ってくれるかなと最初は思ってしていたけど、

今は単に女の意地。

一人の生活が長くても、私は廃らず、腐らず、女を貫き通してるという意地。


今日は、特に話し合いというわけではなく、まぁごはんでも食べようということだけだった。


まるでわたし達の今日をあらわすように、会ったとたんに雷、雨、嵐・・・。


金曜日の渋谷はどこも満員。

帰りに雨に濡れたくないという彼の意見で、デパートの上のレストラン街へ。


昔から、食べ物の趣味はぴったり合う。

いつも彼の選ぶ店に従う私。

この日もいくつかの店から彼が選んだ蕎麦屋、心の中で「くやしいけど、どうしてこうもおなじチョイスなんだろう」

とつぶやいた。

ずんと心の奥に痛みを感じる。



最初はたわいもない会話。

離婚の話し合いで会うようになってから、お互い核心はつかずに探りあうような会話の連続。

でも、ときどき胸をチクチクさく言葉。


たとえば、私のどこを選んだの?外見?「

「いや。外見もそうだけど・・・ほんと全部だよ。全部」

どんなとき楽しかった?

「基本、ケンカしてるとき以外はいつも楽しかったよ」

じゃあ、なんで離婚したいのだろう・・・

いつも最後は心でつぶやく。

私は、いまだに彼が離婚したい理由がはっきりと理解していない。

だから、いまだに少しだけ心が揺れてしまう・・・。


1時間半ほど食事して店をでる。

でも、なぜか私の支払い・・・


そして現実に目覚める。。。。


慰謝料ではないけど、彼に今後の生活資金として要求した額

・・・300万。彼の勝手な行動、そして不倫を法的に裁いたら

この倍は軽く超える。

そこをこの額に押さえたのに・・・


私は調停でもなく、弁護士も介さず2人による話し合いで解決することを

決めたのは、お金ではなく誠意が欲しかったからだ。


人生で一番、傷つき、苦しみ、地獄の時間を過ごして、これから先

気持ちよく生きていくために、私はお金には代えがたい、誠意が欲しかった。

このままでは人を信じることができないから、人生捨てたもんじゃないと

思って前に進みたかったから。


にもかかわらず、この額に納得しないケチな彼は、家の家財道具を売った分をひいて

200万にしろとか、とにかくケチなことばかり連呼。

(そもそも家財道具のほとんどは私の嫁入り道具だし!!!)


結局、今日も最後はケンカになって、私はまた傷つけられ、泣きながら岐路についた。


外はどしゃぶり・・・電車は落雷で不通・・・。


あーぁ・・・・離婚の現実は・・・前途多難なり。

結局、本当ことを言い出せないまま、あさまに飛び乗った。

滞在時間は24時間なかった。

長野に行くまでは、どこか揺れ動いていた心・・・でもその時間こそが答えだった。


別れ際、なんとなくしっくりこない2人。次に会う日さえ約束しなかった。


そして、あさまは私を新たな彼のもとへ。。。。


わざわざ1つ手前の大宮で降り、彼の待つ池袋へ。

改札で待つ、笑顔の彼。

早く帰ってきてよかったと思った。


でも・・・そんなにすべてがうまくいくはずはなかった・・・。


それから1週間もしないうちに、なぜか長野の彼から怒りの電話。


すでに・・・ばれていた私の裏切り行為。

風の噂は怖い・・・。


電話の向こうの彼は、怒りをぶつける場所もわからず、あんなにやさしい彼が初めて私を罵倒した。

生まれて初めて「尻軽女」といわれた。

でも、否定はできなかった。


風の噂より、私の口から言ったほうがよかったのだろうか。

今も、永遠の謎。

どっちにしても傷つけてしまったことには変わりない。


愛は深ければ深いほど、大きければ大きいほど・・・恨みに比例する。


それから毎日のように、罵倒の電話は続いた・・・。


私は自分のした罪深い行為を改めて知る。

でも・・・後悔はしていなかった。


どんなに罵倒されても。