ただ、そんな捻くれも役に立つ場面はあります。
現在私は福祉施設に勤務していますが、利用者として来られる方々は同じような考えを持っていることが多い。
今までできていたことができなくなり、助けてもらわないとまともに生活もできない。常にそういった負い目を感じている。言ってしまえば弱者です。
状況は違えど、その気持ちは痛いほどわかる。
ある時、1人の利用者が話してくれました。
「職員さんはみんな笑顔で接してくれるし優しい。だからこそ気を使うし、申し訳ないと思う。いっそ怒られた方が正しく評価されているようで自分を受け入れられる気がする。どうせ、仕事だからそうしているのでしょう?裏ではボロクソに言っているのでしょう?そう捻くれた考えになってしまう。」と。
まさに、私が常に抱えていた気持ちそのものでした。
何か近いものを感じ取ったのでしょうか。私だけに打ち明けてくれたようです。
そして私も、その方に安心感のようなものを感じていました。
弱者同士の戯れなのかもしれません。しかし、確かにそこには友情のようなものがありました。似たもの同士、惹かれ合う何かがあったのかのかもしれない。
また、気づくこともありました。
その方が負い目に感じていることや、助けてもらうことの申し訳なさ。それは支援をするこちら側としては、それほど大きな問題ではなかったということです。疎ましさなんて感じたことはありませんでした。
それは恐らく、その方が自分の状態を正しく理解しており、受け入れているから。
自分の状態を理解できていなかったり、逆に理解しているからこそ支援を受けて当然だという態度を取ったりするような方には、状態が同じであったとしても受け取り方が変わってしまうのです。
この感覚が虐待の原因の一つになっているのかもしれませんね。気をつけたいものです。
大切なのは、自分の状態を理解して謙虚な態度でいること。できないことにばかりに気を向けるのではなく、できることを精一杯行い、前向きに頑張っていく。これからも、人に迷惑をかけて生きていくことに変わりはありません。それでも、自分のことを必要としてくれる人のために、そして、助けてくれる人に感謝を忘れずにいたい。