拉致被害者家族らが支援を訴え「緊急道民集会」

10月12日(日) 10時00分
http://www.bnn-s.com/news/08/10/081012095145.html
 北朝鮮に拉致された日本人の返還を求める「北朝鮮による拉致緊急道民集会」が11日午後6時から、札幌市中央区の共済ホール(北4条西1丁目)で開かれた。

 「緊急道民集会」は、「家族会」(北朝鮮による拉致被害者家族連絡会)や「救う会」(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)などの主催。会場には、道内で北朝鮮に拉致された疑いのある特定失踪者の家族や支援者などが訪れ、被害者家族の訴えや北朝鮮の元工作員の話(ビデオ上映)などに聞き入った。

 冒頭で、藤野義昭「救う会」会長が「拉致問題は国民にとって一番重要な問題。政府は拉致問題は喫緊の課題としながら、米国のテロ支援国家の指定解除を容認している。(被害者)家族の皆さんはボロボロになりながら全国を飛び回っている。一日も早く解決に結び付くよう支援いただきたい」と挨拶した。

 1978年に鹿児島県で拉致された増元るみ子さんの弟で、「家族会」の事務局長を務める増元照明さんは、「国会議員や国民の皆さんの中にも、国交正常化すれば(拉致被害者が)帰ってくると勘違いをしている人がいるが、帰ってきた方は『帰る前に正常化されていれば、山(強制収容所)に行っていただろう』と言っている。拉致問題は圧力がなければ解決しない。私たち家族は圧力が必要という事を理解していただくために訴えている」と語った。

 1980年、ヨーロッパ滞在中に拉致された松木薫さんの姉・斉藤文代さんは、「弟のニセ遺骨は北朝鮮から2回提出されたが、2回目には動物の骨も混じっていた。母は認知症で入院しており、私がわからない時もあるが、26歳でいなくなった弟のことは忘れていない。弟の写真をなでながら『お勉強しなくていいからもう帰ってきてって言って』と泣いている。母になんとかして会わせてあげたい。家族には時間がないので、皆さんに一緒に戦っていただきたい、助けていただきたい」と涙ながらに訴えた。

 北朝鮮は今年6月の日朝公式実務者協議で、これまで「解決済み」としてきた拉致問題の「再調査」を約束し、日本政府は2006年から実施している北朝鮮に対する制裁措置の一部解除を表明した。

 にもかかわらず、北朝鮮は先月の福田首相退陣表明後、新政権の考えを見極めるとの理由で日本に調査委員会設置の先送りを通告してきた。

 「救う会」の西岡力会長代行は「北朝鮮が調査するのは5回目。これまでずっと嘘をついてきた。はじめ2回は日本のコメ支援に対応したものだが、『日本人行方不明者はいない』と言っていた。だが、02年の小泉訪朝前にアメリカの圧力と日本国内の世論の高まりによって『13人いる』と拉致を認めた。02年以降は、5人帰還8人死亡という嘘は打ち破れていない。各方面から圧力をかけ、核問題のように北朝鮮に申告させそれを検証し、全容解明を進めていくしかない」と指摘した。

 集会は、全拉致被害者が帰国するまでの政府の制裁解除反対や、北朝鮮に対する米国のテロ支援国家の指定解除反対、北朝鮮の不誠実な対応には追加制裁を求めるなどの決議を採択して閉会した。

 集会の翌12日午前零時過ぎ(日本時間)、米国は北朝鮮へのテロ支援国家指定の解除を発表した。