「北の拉致、タイ国民も憤り 家族会訪問 首脳会談の議題へ」
3月25日8時0分配信 産経新聞


 タイを訪問していた拉致被害者の「家族会」と支援組織「救う会」のメンバーが25日未明(現地時間)、4泊6日の日程を終えて帰路につく。タイで初めて拉致の実態を訴えた家族の言葉に、聴衆は「拉致は重要な問題。協力していかねばならない」と理解を示した。家族と面会したタイ外務省の高官は、来月予定されている首相訪日に言及、「(拉致問題が)首脳会談の重要な議題になるだろう」との見通しを示した。北朝鮮への国際的な追及は、一層強まろうとしている。

 「人をさらっていくのは、国家の指導者としてあってはならない。ひどい憤りを感じる。妹は健在だと信じている」

 こう語ったのは、タイ人女性の拉致被害者、アノーチェ・パンジョイさん=拉致当時(23)=の兄、スカム・パンジョイさん。家族会副代表で、田口八重子さん=同(22)=の兄、飯塚繁雄さん(68)とは妹を拉致された境遇が同じ。飯塚さんの励ましに「こんなに力強く思ったことはない」と語った。

 アノーチェさんの存在は、曽我ひとみさん(47)の夫、チャールズ・ジェンキンスさん(67)の著書で明らかになった。1978年夏、仕事先のマカオで無理やりボートに乗せられ、拉致された。

 北朝鮮問題も担当するタイ外務省のシントーン日本部長は、アノーチェさん拉致について、北朝鮮に調査と共同作業部会の設置を求めているが、反応がないと説明。「拉致の疑いがある以上、タイと北朝鮮との関係は正常でない。重要な問題で協力していかなければ」と、連携の必要性に理解を示したという。

 アノーチェさんが拉致された78年は、曽我さんのほかにルーマニア人、レバノン人の女性も拉致されている。4人とも脱走米兵の妻となった。今回の訪タイ中、ルーマニア女性の身元がルーマニア紙の報道で判明。70年代後半、北朝鮮が世界中で繰り広げた拉致の実態が明らかになっている。

 救う会の西岡力副会長は「拉致は日朝間だけの問題ではない。ルーマニア女性の家族とも連携を取りたい」と語る。「平凡に暮らしていた人が、北朝鮮に連れて行かれたことへの怒りを、世界各国が表してほしい」。飯塚さんは国際社会の圧力強化に期待を示した。  

最終更新:3月25日8時0分


 拉致被害者は日本人だけではなく、外国の方もいらっしゃいます。

 その方たちも、一日も早く祖国へと帰国できる様に、各国と協力し合って、北朝鮮に圧力をかけていかなければいけません。

 愛する家族を思う気持ちに、国の違いはありません。

 

 ~(編)奈良野鹿子~